★★☆☆☆

 

劇団「毛皮族」を主宰する江本純子の監督デビュー作。原作は自身の自伝的小説『股間』

主演は『百円の恋』の早織と『ゾンビアス』の中村有沙。

 

早織は完全に男になっておりヌードにいやらしさが一切ない。

冒頭の濡れ場では最後まで男だと思って見ていた。

 

中村有沙はとにかく下手。これでは純粋に作品を楽しむことができない。

江本純子は本当にこれでいいと思ったのか(早織は上手いと思ったが)。

劇中劇は叫ぶ芝居が多いのだが、中村は声がキンキンしてしまって聞き辛い。

大声と通る声は違うのだ。

 

時代設定は現代になっており、Macbookなどが登場する。

舞台はほとんど劇団「毛布教」の稽古場。

旗揚げしたばかりの劇団があんな立派な稽古場を持っているなんてまずありえない(笑)

 

また、あれでは主人公がとても才能ある演出家には見えない。

ほとんど演出のシーンがないし、演出方法もただの指示。

エロくて熱量のある芝居をやりたいという志はあるらしいが、いまいち劇中劇にもそれが現れていない。

 

中村も他の劇団から渡り歩いてきた女優には見えない。

経験のない素人に見える。

序盤のまだ劇団に活気のあるころの女だらけの稽古のシーンは楽しそう。

 

最近では『何者』にも学生演劇が描かれているが、こちらはやはり一昔前の小劇場という感じ。

 

カメラの動きや編集の仕方には面白さがあるが、よくわからない笑いのシーンはとても洗練されたものには見えない。

 

毛皮族の作風を知らないので判断しかねるが、ベタなのかネタなのか、あまり先進的なものではないような気がする。

下着で水を掛けられるシーンは『台風クラブ』である。

 

脱いでほしい人が脱がずに微妙な人ばかり脱いでいる。

佐久間麻由が一番かわいいのに脱がない。

森田涼花も脱がない。桜井ユキも脱がない。

 

物語としては客演の女優が来て、それに惚れた演出家がその女優のわがままに全て言いなりになってしまい劇団は空中分解。(見るからにダメな演出家なのだが、ちょっとあからさまにダメすぎやしないだろうか。こんな演出家がよく今までやってこれたと思うし、こんなんでよく劇団員が集まったと思うくらいのダメさ加減。旗揚げまでの経緯は謎)

 

中村は降板し、公演は終了したものの主人公には600万の借金が残った。

主人公が春を売っていたパトロンのマダムにも支援を断られ(プレイ中に「ばばあ」と言ったのが原因らしい)

 

居酒屋で出会ったファンを名乗る女性とセックスをし、次回公演への出演と引き換えに50万借りたりするが、ラストシーンは稽古場に中村が戻って来て「次の舞台が決まった」と告げて終わる。

 

主人公は「おめでとう(良かったね?)」というが、中村は「観に来なくていいよ」と笑顔で告げて去って行く。

 

タイトルは劇中劇のタイトルから取られている。

劇中劇の公演のシーンの合間に稽古の様子がカットバックされる。

 

そして、ラストシーン前に、すでに劇団はバラバラになってしまっているのだが、昔を懐かしむように旗揚げ公演の上演直前及びカーテンコールの場面が回想される。

 

ラストは主人公が稽古場の戸に再び「仲間募集」という貼り紙を貼ってエンドロール。

テーマ曲は「オーソレミオ」?

 

レズ映画として観ればまた別の評価ができるかもしれないが、パッとは印象に残らない映画だった。

 

安藤玉恵が不動産屋のお姉さんとしてカメオ出演。

元AKBの増田有華も演出家の元カノとして出てくるが出番は少ない。

(当然ヌードもない)