・松竹『もとの黙阿弥』

作=井上ひさし、演出=栗山民也
8/23、新橋演舞場
井上ひさしが初めて大劇場での商業演劇に書き下ろした作品が1983年の初演と同じく新橋演舞場で上演された。主演は片岡愛之助。
文明開化の浅草、大和座を舞台に二組の主従が入れ替わり、大騒動を巻き起こす。という物語に演劇改良運動や自由民権運動といった要素が加えられ、劇中では相当に「商業演劇を書くとはどういうことか」というメタ的なテーマが意識されている。
舞台上に芝居小屋を丸々建ててしまうという大劇場ならではの趣向もそうだし、役者が歌舞伎、ジャニーズ、宝塚、テレビ、小劇場といった様々なジャンルから集められているのもそうだ。
また、劇中では愛之助が素人歌舞伎を演じる場面があるのだが、大向うから「松嶋屋」という声が掛かると、客席は大いに沸いた。
結果的に見事な商業演劇にまとめ上げられてはいるが、結末はひどく物悲しい雰囲気だ。これはただの商業演劇なら書くつもりはないという井上ひさしの意地だろう。
劇中では散々に否定されていた演劇改良運動だが、この作品自体は演劇改良運動を経た、観客に何かを考えさせるための演劇になっているというのも面白い。

作=井上ひさし、演出=栗山民也
8/23、新橋演舞場
井上ひさしが初めて大劇場での商業演劇に書き下ろした作品が1983年の初演と同じく新橋演舞場で上演された。主演は片岡愛之助。
文明開化の浅草、大和座を舞台に二組の主従が入れ替わり、大騒動を巻き起こす。という物語に演劇改良運動や自由民権運動といった要素が加えられ、劇中では相当に「商業演劇を書くとはどういうことか」というメタ的なテーマが意識されている。
舞台上に芝居小屋を丸々建ててしまうという大劇場ならではの趣向もそうだし、役者が歌舞伎、ジャニーズ、宝塚、テレビ、小劇場といった様々なジャンルから集められているのもそうだ。
また、劇中では愛之助が素人歌舞伎を演じる場面があるのだが、大向うから「松嶋屋」という声が掛かると、客席は大いに沸いた。
結果的に見事な商業演劇にまとめ上げられてはいるが、結末はひどく物悲しい雰囲気だ。これはただの商業演劇なら書くつもりはないという井上ひさしの意地だろう。
劇中では散々に否定されていた演劇改良運動だが、この作品自体は演劇改良運動を経た、観客に何かを考えさせるための演劇になっているというのも面白い。