前述の「平成21年上半期の薬物・銃器情勢」では、2009年1~6月の薬物密輸入事犯の検挙件数は、覚せい剤事犯において102件と、前年同期4倍以上になっている。

 検挙人員では来日外国人が5割以上を占め、検挙人員数も67人と11倍以上だ。下の表を見てもらおう。


薬物事犯別密輸入検挙件数及び検挙人員
警察庁「平成21年上半期の薬物・銃器情勢」より。
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 覚せい剤事犯で検挙された来日外国人で一番多いのがイラン43人で、次いでブラジル29人、フィリピン21人、タイ20人、中国17人と続く。ただし、香港を含めると中国人は24人となり、ブラジルに次いで多くなる。


北朝鮮製覚せい剤の多くは、中国の犯罪組織を通して世界中にさばかれる。


 密輸事件で押収された覚醒剤の仕出地(積み込まれた地)は、件数こそ香港が11件と一番多いものの、押収量では中国が131kgと突出している。


覚醒剤粉末大量押収事例からみた仕出地別押収状況
警察庁「平成21年上半期の薬物・銃器情勢」より。
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 実は、中国の犯罪組織も、近年では覚せい剤を自ら作り始めている。


 北朝鮮製のほうが質が高いので市場人気はあるようだが、北朝鮮が出荷を停止していた間に、この中国製も日本に入り込んでルートを作った。


 さらに日本の暴力団も、大麻取り締まりが厳しくなって「覚せい剤に流れた」事実がある。


続く