カード当てを演りました。きっちりと当てましたが、「でもトリック(タネ、仕掛け、奇術全般における原理)があるんでしょう?だったらダマシ。人を手品で騙そうとしてもダメ。」と言われることが稀にあります。これは奇術における貫通現象、浮遊、念動、予言、透視、全ての現象に言えます。タネがわかる、わからないではなく、タネがあったらインチキという風潮ね。

 

「タネが見えた(わかった)から、あなたの手品はダメな芸ですよ」「怪しい手付きだったから、人に見せるレベルではありませんよ」と言われるなら未だ理解できます。それは演者が90%以上悪いと思います。

 

そもそも「これから手品を演ります」と宣言した時点で「不思議に見える現象ですが、タネがあるパフォーマンスをします」と言外にお断りをしているわけで、「タネがあることを了解してくださいね? → はい、わかりました。」という誓約を済ませているのです。これは演じる側の解釈であり、手品とはそういうものなのですが、友人同士などの日常の場で『平常心で』見ているため「テレビで見るプロの手品にはタネがない」と相手は思ってしまい、アマチュアマジシャンである『趣味で手品を演る人』の全てを否定しようとします。

 

どんな不思議なカード当てを演っても「どうせ、どっかで見たんでしょ」でおしまい。「いつかどこかの過程でオモテを見たから当てられる。それしか考えられない。そんなもの(タネがあるとすぐに分かるもの)で騙そうとしてもダメ。」という感じの人。おそらくマジック嫌いなのでしょう。でも、しっかりと「タネありです」と前提している芸を「なんだよ、タネがあるんじゃん!騙すな!」という論法はおかしいの。

 

おかしな論法ですが、それでも「そういう人もいる」と理解した上で演るのが手品。

 

 

・私は手品師として嘘を言わない。

 

マークドデックを使っている時に「普通のトランプです」とは言いません。

百均トランプにマーキングをしたデックを使う際は、「100円で買ってきました」と言います。

カード当てでは「あなたが覚えたカードを当てます」と言います。「ノーヒントで」とか「手がかりなく当てます」などとは言いません。

アンビシャスカードでは「サインしたカードが上に上がってきます」と言ったときは本当に中央にサインカードがあり、(パスなどで)これから上がってくる時です。(トップチェンジなどで)既にトップにサインカードがあるのに「これから上がってきます」とは言いません。

 

後ろめたさは手品師の敵です。

そのため、嘘を言わない。

これは守っています。

 

フォールスカウントについてですが、

「8枚使います。いち、にい、さん、しい、ごお、ろく、しち、はち。このカード束を」と言って、本当は10枚あるパケットを「8枚だ」と思いこむ客がいても、最終的に8枚使う手品を演るのであれば、どこが嘘でしょうか。言葉が足りないことを嘘とは言いません。

 

嘘1つついていないのに「騙そうとしている」と言われるのは心外。

 

マジックにおいて日本は後進国なのでこうなるのでしょう。

嘘をついてもいい手品師は、それなりに場数を踏んだ方で、不思議という現象に対し手段を選ばないことに慣れている人。そういう人の手品を見慣れると、「手品なんだから、嘘もあり。卑怯じゃない。」になります。奇術先進国ではそうやって楽しんでいるはずです。

 

 

 

 

・マインドリーディングは本当に心の動きを読んでいる。

 

マインドパワーデックなどを演じていて、「あ。今、動揺が見えたな?」とか「YESかNOか、が言えずに逡巡しているな?」とわかる瞬間があります。だから心の中のカードを当てられるのであって、カードマインドリーディングは別に嘘はついていません。本当に読心術です。

 

「握っている手の中のコインがこちらのコップに飛んできます」は嘘です。飛んできてはいませんので。

ただ、『本当に飛んできたかのように感じさせる芸が手品だ。』とわりきるから言えるセリフ。

 

手品とは、そのほとんどが錯覚を楽しむ芸能です。