フォトレタッチ 5 | Down to the river......

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写真・音楽等の趣味や、日々の雑感、または個人的な備忘録……

まずは業務連絡みたいなものから(^^;。
写真に興味がない人は意味分からないと思うので、スルーして下さい(笑)。

キャノンのセンサー・クリーニング作業が4月から有償化されるので、その前にSC(サービス・センター)に行ってクリーニングを頼みました。
機種は EOS 5D なのですが、その時応対した人から、併せて EOS 5D のミラー脱落防止の為の修理に出した方が良いと提案されました。

よくよく話を聞くと、web上のお知らせでは「該当の人」向けのような文言だが、ショット数・ロット番号に関係なく、対策の施されてない機種は、いずれかなり高い確率でミラーが脱落する恐れがあるとのこと。

つまり、web上では曖昧な記述だが、EOS 5D 全個体のリコールみたいである。
しかも修理に1週間かかるそうです。

EOS 5D のオーナーはすぐにでも修理に出した方が良いかもしれません。
気温や湿度に関係しているみたいで、季節の変わり目の今の時期、ミラーが脱落する可能性が高くなると予測されますので。

しかし、キャノンの対応はいかがなものか? 何が「ミラーが外れるという現象がまれに発生する」だ。
これは偽装表示ではないのか?

ガバナンス、コンプライアンス、CSR と近年話題になっている企業の課題を、軽視しているのだろうか。

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久しぶりに「フォトレタッチ」について。

昔と比べ、ネット上で他人の写真を観る機会が増えましたが、面白いことに大抵が「色・露出が良い」写真と、「そうでない」写真の2グループに分けられます。

これは「写真が上手いか」という問題ではなく、「技術的」もしくは「科学的」な問題です。
その事に気付けば、誰でも「色・露出が良い」写真にすることが出来ます。

TV ドラマ『ガリレオ』で湯川先生がよく言う「思いつきや、勘で問題を解決しようとするのは間違えだ」に属する次元です。

写真に関しての私見ですが、文系でなく理系出身の人の中に、結構「感性」という名の「思いつきや勘」でフォトレタッチをする人が、少なくないようです(苦笑)。

オウム事件を見ても、理系出身の優秀な人達がサリン事件を起こした訳で、何か根本的な問題があるのかもしれませんね。
前回も書きましたが、ジェネラリストになるという姿勢が大切だと思います。

「フォトレタッチ」の具体例です。


モデル:あさみさん

Down to the river......-Sample01


数学に問題を解く「公式」があるように、写真も理想的な標準値に近づける「公式」があります。
「技術的」もしくは「科学的」という論理的な問題ですから。
つまり、「公式」を知っていれば誰でも出来るのです。

その公式は、前に「フォトレタッチ 4——実践編」としてエントリーしているので繰り返しません。
その記述を読んだある知人が、「こんな奥義のようなことを、皆が見ているところに書いていいの?」と心配してくれました(笑)。
これを知ったのは「プロ向けの雑誌」でしたが、「Photoshop 7」のヘルプで更に詳しい記述があるのを発見した時、「目から鱗」が落ちました(笑)。
細かい作業を疎かにしてはならない、という教訓ですね。

上の左が「撮ったまま」の状態で、右が「公式を当てはめた」状態です。
左のままでも充分だと感じていましたが、右の方が断然その時のその場の状況を再現しています。
カラーバランス(ホワイトバランス)も修正され、肌色も本来の色に近づきました。

青味が増しましたが、そのため「背景への抜け」が良くなりました。
『限りなく透明に近いブルー』(村上龍)と言う作品がありますが、やや青味があると、透明感が出てきます。


補 正 後

Down to the river......-Asami-finish


あさみさんは肌が白くて綺麗なのですが、白ければ白い程カラーバランスの崩れが肌色に影響してくるので、注意が必要です。

ブルーが強まった分、肌にマゼンタが乗って来ています。
えっ? と思われるかと思いますが、銀塩時代から肌色にマゼンタを乗せる為に「ブルー・フィルタ」を使うのは常套手段でした(フィルタの使い方の本に書かれています)。
ブルーにはマゼンタ成分が含まれているのです。

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もう少し効果が大きい例を。


モデル:Rika さん

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「露出不足」で「カラーバランス(ホワイトバランス)が適切でない」写真に「公式」を適用しました。

長くなるので詳細は書きませんが、「どういう補正をしたか」ではなく、「ヒストグラムを見て何を補正したか」分かる能力が大切です。

「公式」を適用することで、露出が良くなっただけでなく、色の分離が明確になり、本来の発色・彩度に近づいたことが重要です。

ここで注意したいのが、カメラの設定は決して「AWB(オート・ホワイトバランス)」にしてはいけないことです。
この「公式」が威力を発揮出来るのは、「太陽光」、「色温度指定」、「マニュアル・ホワイトバランス」モードの時だけだと、心得た方が良いです。

長くなるので詳細を割愛しますが、カメラの本来の目的は「目で見たまんまに写すこと」です。
「AWB」は、優先すべきそのことを阻害する可能性があります。
後処理を手軽で簡単にする為には、撮影時のカメラの設定も重要なのです。


補 正 後

Down to the river......-Rika-finish


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今まで述べて来た「公式」は、実は「フォトレタッチ」の最初の段階ですべき基本的なことです。
そういう意味で、間違いを訂正する「後ろ向き」または「消極的な」レタッチです。

別の言い方をすると、そこで初めて「フォトレタッチ」の「スタート・ラインに立った」訳です。
そこから先が、「前向き」で「攻め」のレタッチの世界です。
そこは「公式」が殆ど存在しない世界です。


モデル:入江由実さん

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まず、最初に露出やカラーバランス(ホワイトバランス)を整えておかないと、色が濁り綺麗に見えないので注意して下さい。

これは、いかにも「デジタル処理」みたいな写真だと思うかもしれませんが、銀塩時代の「クロス・プロセシング」処理の効果に近づけただけです。
実にアナログ的な効果なのです。
「E6」とか「C41」という用語が分からないと、理解出来ないかもしれませんね。
詳細はネットで検索して下さい。

「クロス・プロセシング」は誰でも簡単に出来るものではなく、ある意味限られた人だけの敷居が高い処理でした。
それがデジタルになり、スキルさえあれば誰でも自宅で出来るようになったのです。

試行錯誤の世界ですが、色々と試してみるのも面白いと思います。
ある程度の経験(時間)と粘り強い精神が必要ですが……(苦笑)。