フォトレタッチ 4——実践編 | Down to the river......

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写真・音楽等の趣味や、日々の雑感、または個人的な備忘録……

9月28日(日)全東京写真連盟の石神井公園撮影会に参加しました。
撮影後の親しい仲間内での反省会で、綺麗なプリントの話題が出ました。
綺麗なプリントを出す関門は幾つかありますが、モデルの素質の第一要素が「写真写りの良さ」である様に、綺麗なプリントの第一要素が「データの良さ(綺麗さ)」です。
写真は黒から白への階調で表現します。つまり階調の良いデータがプリントの綺麗さに関係します。

rika_take3_BF例として、前回エントリーした金山リカさんの3枚目の写真を取り上げます。

左が撮ったままの状態です。
少し暗いなと思うでしょう。
実際の肉眼を通して記憶した映像(記憶色)も、もう少し顔の部分が明るかったと思います。

しかし、人間の目に映った映像は、脳内で都合の良い様に補正していることに注意して下さい。

人間に見える世界が実世界とは限らないのです。


Histogram1上の写真のヒストグラムが右です。

ヒストグラムの山が0より左(マイナス)側に寄っていないので、露出不足ではありません。
被写体を照らす光の照度が不足しているのです(=光が回っていない)。
曇りの日の天井のある日陰部分では、レフ2、3枚で被写体の回りを明るくしないと、部分的に照度差が出てしまいます。
現実の撮影会では、そこまで望むのは無理です。
向かってモデルの右側(光が当たっている方向)の一方向からしか撮影位置がないのです。


Histogram2そこでソフトによる補正が必要になってきます。
左が補正後のヒストグラムです。
プリント時に画像は8bit(0~255の256階調)で出力されます。
つまり、この256階調の幅にヒストグラムの山を綺麗に収めれば良いのです。

ここで注意して欲しいのが、青枠部分です。
0~10、245~255 の部分(階調)は印刷技術の限界から、人間の目から見て階調が見分けられない部分です。そこで、ヒストグラムの山が青枠部分に入らないようにしています。


これは、「白飛び」、「黒潰れ」対策でもあります。
また、RGB の各チャンネルを操作し各色の山を揃える事で、カラー・バランス(ホワイト・バランス)も揃ってきます。

10、245 の数値はあくまで標準的な印刷の基準であり、絶対値ではないので、最終出力メディアの特性を考慮しながらモニターを見て前後に微調整します。
その為、きちんと正しく階調表示が出来るモニター(=ある程度高価)の使用が必要になってきます。
そしてその微調整の一要素として、その人の感性(=個性)が出る部分でもあります。


rika_take3補正後の画像です。
上記のヒストグラムの図を見ての通り、トーン・カーブで暗部を少し明るくしました(階調幅の補正だけでは顔の部分が未だ暗いと感じたので)。

トーン・カーブのコツは望んでいる部分の周辺まで影響が出てしまうので、あまり強くカーブを動かさない事です。

本来ならフォトショップ等の専用ソフトで、16bit 画像にしマスク(選択範囲)を作ってその部分だけ補正するのが常道です。
今回は Web 上のみなので、手抜きして手軽に 8bit のままアバウトに処理しました。
よく見ると階調の乱れ(トーン・ジャンプ)がある様に思います。

プリント目的では、アラが目立ちやすいので画像処理は 16bit でするのが望ましいです。