秋になる前にどうしても触れたい事があります。
今日の夕方遅く車を走らせていました。雨が降っていて雷が走っていました。
車中かけていた FM放送から矢井田瞳がライブで、「晩夏(ひとりの季節)」を歌っていました。
その状況と歌詞の内容は違いましたが、秋に向かうこの季節に見事にシンクロしました。
松任谷由実(=荒井由実)のベスト・アルバムを挙げろ、と言われれば、僕は迷わず『14番目の月』(荒井由実名義)を推すと思います。このアルバムを知ったのは、発表後10年以上も後なのですが(笑)、彼女のラジオに投稿したあるリスナーが、このアルバムが一番好きだと、葉書に書いていて放送されたのがきっかけです。
早速、(貧乏なので)中古でレコードを購入し聴くと、何とも言えない雰囲気を醸し出す完成度が高いアルバムではないですか!
「中央フリーウェイ」を目当てに購入した人は、ある意味肩すかしにあうかもしれない、寂寞感があります。
購入後暫く経って、当時このアルバムのプロデューサー松任谷正隆と婚約していた荒井由実は、このアルバムをもって引退する気でいた、と知りました。
シンガー・ソング・ライターとして引退するつもりだった彼女の覚悟(=これが最後という気持ち)が、このアルバムの隅々に見え隠れします。
このアルバムの冒頭は「さざ波」。バック・コーラスは山下達郎です。
さざ波
2曲目は「14番目の月」(リンク)です。
十五夜満月から、十四夜目の月(14番目の月=次の日が満月=ピークの手前)が好き、と歌う歌詞は、録音当時(結婚=引退をひかえた)の彼女の心情を表していると思います。
そして、A面の4曲目の名曲、「朝陽の中で微笑んで」で最初のピークを迎えます。
朝陽の中で微笑んで
金のヴェールのむこうから
夜明けの霧が溶けはじめ
ざわめく街が 夢をさます
朝陽の中で ふりむいて
どうぞ その手をさしのべて
薔薇の色さえ うつろわす
時の流れが とてもこわい
宇宙の片隅で めぐり逢えた喜びは
うたかたでも 身をやつすの
朝陽の中で 抱きしめて
形のない愛を包み込んで
カード一枚 ひくように
決まるさだめが とてもこわい
宇宙の片隅で つぶやき合う永遠は
幻だと 知っていても
朝陽の中で 微笑んで
形のない愛を つなぎとめて
つなぎとめて つなぎとめて
朝陽の中で微笑んで
この曲は、近年諌山実生のカヴァーが、ドラマ(テレビ朝日系「動物のお医者さん」)の主題歌に使われましたが、僕にとってはどうして今まで取り上げられなかったのか、と思う程の隠れた名曲です。
そして、珠玉の名曲「晩夏(ひとりの季節)」でこのアルバムは終わります。
八王子の呉服屋の娘に生まれたユーミンは、家業の影響からか、多摩美術大学の日本画専攻に進学します。
その彼女の和のテイストが遺憾なく発揮された名曲です!
この曲が無ければ、このアルバムは名盤になりはしなかった、と僕は思います。
近年、平原綾香がカヴァーしていて、その他にも数々のアーティストによって歌い継がれて来た名曲です。
ゆく夏に 名残る暑さは
夕焼けを吸って燃え立つ葉鶏頭
秋風の心細さは コスモス
何もかも捨てたい恋があったのに
不安な夢があったのに
いつかしら 時のどこかへ置き去り
空色は水色に
茜は紅に
やがて来る淋しい季節が恋人なの
丘の上 銀河の降りるグラウンドに
子供の声は犬の名をくりかえし
ふもとの町へ帰る
藍色は群青に
薄暮は紫に
ふるさとは深いしじまに輝きだす
輝きだす
晩夏(ひとりの季節)