ホワイトバランスとは白を白として写す為に、デジタル・カメラが色温度のずれを調整することを言います。
詳しく言うと、参照光(諸光源)の色温度のバランスのずれを補正して白を再現(表現)することです。
同じような言葉に、グレーバランスが銀塩時代から使われていますが、現在ではほぼ同じ意味を指しています。
ただ、厳密には全く同じではなく、グレーをグレーとして写すことと、白を白として写すことが必ずしも自然に(または自動的に)両立する訳ではないからです。
カメラ雑誌等で色温度の設定の仕方で、プロがグレーカードを使用しているのが度々紹介されていることからして、グレーバランスの方が重要だと思います。グレーの方が色転びがシビアですから。
経験から言って、デジタルになってからのホワイトバランスの問題は、カメラのオート・ホワイトバランス機能の問題に集約されると感じています。
手元にあるプロ、ハイアマ向けの本に次のような記載があります。
(オート・ホワイトバランスは)お勧めしない。特定色が点在するような画像の場合は、予想もしない方向に色が補正されることがあり、また同じ条件で撮影したとしてもコマごとにばらつきが生じることも多いからだ。
デジタルカメラ側の設定として最も信頼できるのは、マニュアル(プリセット)ホワイトバランスだ。他には、色温度が特定できる色温度設定や、太陽光(自然光)など。
(それ以外は)かえって使いにくいことがある。また、忠実な色再現性を望むなら、オートホワイトバランスは使用してはならない。
(『基礎から始める、プロのためのデジタルフォト講座』玄光社より)
しかし、写真を見てホワイトバランスの判断をするのは結局は人間です。
撮影者自身が光の色に敏感にならないと、調整や補正もできません。
そこでお勧めなのが、いきなりカメラを構えるのではなく、光源や被写体をじっくり観察して、色の確認作業をする癖をつけることです。
ただ、人間の目は結構いい加減(適度に環境に合わせ脳内で補正する)ですから、厳密な数値に一致しなくても、誤差が一定の許容範囲内に収まれば、大多数の人には白いものが白く写って見えます(^O^)。
自動露出機能の歴史を振り返れば、将来的に「マルチ・パターン・オートホワイトバランス」等の信頼できるものが出て来るかもしれませんね。
えっ、マルチ・パターンって何って?
お答えしましょう! 「それは、マルチなパターンです」(阿部先生すみません キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!)
僕の理解するところでは、様々な条件で撮影された写真(パターン)を無数(マルチ)に登録しデータベース化して、撮影時に最も近い写真のデータを参照して、設定値を算出する機能だったと思います。
でも、色の組み合わせは無限ですから、ホワイトバランスに上手く適用できるのか疑問ですね。
こんな説明でご理解できましたか?
写真は元来、化学的光学的メカニズムで像を作り出してきたので、深く追求するとどうしても理屈っぽくなってしまいますね。