世界の隅っこで… | うっとり日和

世界の隅っこで…

某新古書店の慈善事業CMをはじめて目にして、なんだかとても苦い気持ちになって
常から考えている事を改めて考えたので、つらつら覚え書き。
以下、個人的な意見をもじょもじょ喋ります。


慈善事業自体は立派なこころざしだと思うんだ。
それを打ち出すことへの否やはありません。
だけど、その事業の土台となる部分……
扱ってる商品に付随しているはずの知的財産権=著作権をなかったことにしてる
商売の形については、そもそもどう捉えているのかな。。
あまつさえ「本を大切に」なんてエコみたいな広告うつのも
論旨をすり替えてるように感じられてならない。
慈善やエコよりずっと以前に、考慮すべきことがあると思う。

新古書の売り上げって一銭たりとも作り手(著者/版元)に還元されないし、
“ほとんど新品同然”の古書が出回ることで新刊の売り上げにももちろん影響があるし、
読みもしない新刊をごそっと窃盗して新古書店に売ってこづかい稼ぎするなんて阿呆も出てくる。

そのときどきで作り手が被る不利益だって見逃せない由々しき事態なわけだけど、
さらに大きな声で言いたいのは
この連鎖が続けば続いただけ業界が疲弊してって、
結果的に面白いものが新たに出版される機会が摘まれてくんだよ!? いいの?? ということ。
(新古書店にとっては「メシの種」がどんどん痩せ細ってくってことだ。)
本が好きだって気持ちが幾らかあって将来的にも楽しみたいと少しでも思うんなら、
そのときの数十円、数百円をケチらないで新刊で買ってほしいのです。。

新刊で入手できるものを新古書で買うのって、不買運動を行うのと一緒だ。
著者や版元に対して抗議したいって気持ちがあるなら、それはもう有効な手だてでしょう。
逆に言えば、「新刊で買う」という、たったそれだけのことで、
ファンレターやファンメールを送ったりポジティブレビューをwwwに上げたりするより
ずっと簡潔に直接的に著者に繋がることができて、
次回作、そのレーベルの新作、その版元の新作、
ひいては版元を限らず
まだ見ぬ傑作が生まれる土壌を作ることにだって結びつくんだと思うのです。

この構図を理解した上で、
それでも「節約」のために新古書を利用するんだ…という主張がおありなら
それを止める術はわたしにはないです。
だけど、無自覚なまま利用してるというのが大半だと思う。
何の悪気もなく、平気で(さらに言えば「買った」という事実でいっそ誇らしげに)
「古本で買いました!」と著者に言ってしまう読者がいたりして、
それは「あなたが一生懸命表現したものは新刊で買うに値しないけど、
まあコンテンツには興味あったんで、
せめてあなたとあなたの本を発行した企業の懐が潤わない方法を選んでやったよ」
って投げつけるのと一緒なんだぜ、、と呆れるほかないし、
それをわかってないままやってるかと思うと、やりきれない気持ちになる。
ひとまず自覚して、考えて、選んでほしいです。


………と、いうようなことを
わたしの身近な人たちはさんざん聞かされてうんざり^^;かと思いますが
これからも面白いものを読んでゆきたい一読者として、
業界の隅っこに属する人間として、
もじょもじょ喋ってみました。うまく整理できてなくてすみません。
ご意見などあれば謹んで拝聴いたします^^/