- 一握の砂・悲しき玩具―石川啄木歌集 (新潮文庫)/石川 啄木
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悲しき玩具
いつとなく記憶に残りぬ――
Fといふ看護婦の手の
つめたさなども。
はづれまで一度ゆきたしと
思ひゐし
かの病院の長廊下かな。
起きてみて、
また直ぐ寝たくなる時の
力なき眼に愛(め)でしチュリップ!
堅く握るだけの力も無くなりし
やせし我が手の
いとほしさかな。
わが病の
その因るところ深く且つ遠きを思ふ。
目をとぢて思ふ。
かなしくも、
病 いゆるを願はざる心我に在り。
何の心ぞ。
新しきからだを欲しと思ひけり、
手術の傷の
痕を撫でつつ。
やまひ癒えず、
死なず、
日毎にこころのみ険しくなれる七八月かな。
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自らの限りある命を感じたとき、
ひとのこころは、とても敏感に、繊細になるのだとおもいます。
普段は気付かないような、些細なことにも心がかかってゆく。
「生きている」ということに想いを馳せ、
静かに、穏やかに、深く、重く、いのちと向き合うことになるのだと思います。
そんな方と接する医者に求められる姿勢とは。。。
難しく考えすぎかもしれませんが、
今の内に、がっつりと考えておきたいものです。