- 竜馬がゆく〈2〉 (文春文庫)/司馬 遼太郎
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風雲前夜
「いや、兄(にい)」
「なんじゃ」
「わしゃ、学問をしようかと思うちょるんでおじゃりますわい」
「が、がくもん?」
これには、権平も爆笑した。
「竜馬、お前が学問かよ」
「学問は必要じゃとわかった。
古今の書を読み、かつ西洋の書も読みたい。
読んで、わしがこの手で、
こんな腐った天下をなんとか動かしてくれようと思うちょります」
「天下を? この法螺坊主め」
権平はなお、うふうふと笑いつづけたが、急にわらいやんで、
「お前、もはや二十四ぞ。
女房をもらわにゃならん年ごろぞ。
その年になって、学問とは遅すぎるわい。
それに、師匠はたれにつくんじゃ」
「自分でやる」
断乎として、竜馬はいった。
竜馬は不信の念をもっていた。
幼少のころ、こりている。
かれらは、他人を採点し、侮辱し、
いたずらに劣等感のみを植えつける存在ではないか。
竜馬は幼少のころの劣等感からぬけだすために、どれだけ人知れず悩んだか。
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死生観について、学びたいと思っても、大学には期待できないと分かった。
だから、自分でやる。
竜馬のこの気持ちは、よく分かるし、
これからも大切にし続けたい。