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■のび太の結婚前夜
マンガ『ドラえもん』の主人公であるのび太は、
将来、しずかちゃんと結婚することになっています。
しかし、のび太くんはあの通りの頼りない男性ですから、
しずかちゃんは結婚前夜、迷います。
お父さんの部屋に行き、聞くのです。
「お父さん、私の結婚は間違っていなかったかしら?」と。
すると、しずかちゃんのお父さんは答えます。
「いや、君の決断は間違っていなかったと思うよ。
なぜなら、のび太君は、
人の幸福を願い、人の不幸を悲しむことのできる人間だ。
人間にとってそれが一番たいせつなことだからね。」
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要するに、のび太君の給料が二十万円でも、
二百万円とか二千万円の給料を得ているのと同じ価値がある、ということです。
つまり、二十万円の旅行がのび太君と一緒なら
二千万円の価値があるということです。
しずかちゃんのお父さんは、
のび太君と結婚すれば悦びと感動の人生になる、と
しずかちゃんを説得しているのです。
人の幸福を願い、人の不幸を悲しむことのできる男性は、
100%間違いなく「いい男」です。
男性は、英雄体験をして智恵と勇気を獲得すると、
一様に、人の幸福を願い、人の不幸を悲しむ人間になります。
『ドラえもん』の栄華は、実は英雄体験物語なのです。
人の幸せを願うことのできる人は、
精神的に極めて強い人です。
いえ、強い人しか人の幸せを願うことはできません。
精神的に強い人は、自分の力や能力を、人を助けることに使います。
弱いものを救うために自分の力を使うのです。
しかし、精神的に弱い人は、
自分の力や能力を、弱い者をいじめるために使うのです。
不幸は人は、人の幸せを願うことはできません。
できないどころか、人の不幸を願ってしまいます。
心が満たされていない人は、
人の幸福を妬み、人の不幸を笑う人達なのです。
こういう人は、
どんなにお金があろうが、
どんなにいい大学を出ようが、
どんなに会社で出世してようが「いい男」とは言えません。
人の幸福を妬み、人の不幸を願う人は、
人間として最低です。
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独り、病いと闘い、不安に耐えている患者さんのもとに、
どれだけ足を運ぼうと思えるだろうか。
死の不安を抱えて、支えを求めている患者さんと接するとき、
同じ目線で、まっすぐに相手の目を見ることができるだろうか。
先が長くないことに気付いている、
そんな相手の話を遮ることなく、
一言一言を真剣に、耳を傾けられるか。
視線をそらしたり、
話を誤魔化したり、
正面から向き合えない、後ろめたさはきっと、
その悲しみを受け止めきれない、
苦しみに、自分が耐えられない、
相手のことよりも、自分の保身を考えてしまう、
そんな、我ながら浅ましい心に気づいてしまうからだと思います。
そんな自分を見る、患者さんの視線には、
きっと耐えられないから。
相手の目を見つめて、話をすることは、
自分自身と向き合うことから始まる気がします。
自分と向き合う強さが、
相手の幸せを願う力を生みだす。
僕は、最期まで、
患者さんの幸せを願える自分でありたい、
そういう強さを身に付けたい、
そう思いました。