命には、限りがあるって知ってた?



…僕は、知らなかったのかもしれない。




限りがあるってことは、

終わりがあるってことだよね。


終わりがあるってことは、

終わるということ。


それがどんなことなのか、

今まで全然分かってなかったみたいだ。


いや、今もね、

まだ信じられないんだ。

信じたくないんだ。



僕に来年は無いんだって。

いや、正確には、分からないんだって。

来年の今ごろ、僕はどこでどうなってるのか、分からない。


そんなことは別に、今に始まったことじゃないのにね。

去年の今ごろも、僕が今こうしていることは知らなかったはずだし、

未来はどうなるかなんて、ハッキリしてないまま生きてきた。


けど、今はそのハッキリしないことが不安でしかたない。

僕はこれからどうなってしまうんだろう。


いつどうなるか分からないんだって。

僕の未来は保証できないって。


僕の未来のことなんて、誰にも分からないんだけどね。

最初から。


それを、無限の可能性と思ったこともあった。

希望に溢れていると信じていた。


けど、大事なことが抜けてた。

現実が見えてなかったんだね。

時間は有限だなんて、誰が考えても分かることなのに。


僕は何を見ていたんだろう。

節穴ってのはこういうのを言うんだろうな。




最近、周りの景色も違って見えるんだ。

見慣れたはずの景色が。


見えなかったものが見えるようになったのかな。


人の親切が嬉しくなった。

何気ない一言に喜びを感じられるようになった。

こうして僕はたくさんの人に支えられてきたんだね。

もっと感謝して生きないと申し訳ないと、強く思う。


対照的に、

自分の弱さ、醜さ、汚さも見えるようになった。

煩悩にまみれているってのはこういうことかな。

僕はずっと、こんな自分を見て見ぬ振りをしてきたんだ。

逃げていた。

こんな自分だと認めたくなかった。

でも、本当はどこかで認めていたのかも。

そうでなければ、逃げる必要もないしね。

僕は卑怯な人間だったんだな。

臆病で、小さな、弱い人間。




当たり前だと思っていたことって

当たり前じゃないんだね。


朝、目を覚ますこと。

太陽の光を暖かく感じること。

美味しい食事を摂れること。

笑顔で挨拶できること。

心臓が動いていること。


当たり前じゃないと気付くだけで、

これらのこと全てが有り難く思える。

感謝したくなる。

受け流すなんてもったいない。

今この時を大切にしたくなる。


みんなは、この幸せに気付いているかな。


命あることを有り難いことだと喜んでいるかな。


もしそうでなければ、あまりにもったいない。

せっかく人間に生まれてきたのに、

その有り難さに気付いていないなんて。


残された時間は大切さにしないと。




そう、残された時間は、

あとどれくらいだろう。




君なら分かってくれるだろうか、

この孤独の恐ろしさを。


君には気付いてもらえるだろうか、

この不安に耐え続けなければならない苦しさを。


分かってもらいたい。

君は医者になるんだろう。


だから、君にこの気持ちを伝えたいと思ってこれを書く。


そしてまた、

医療を志す仲間にも伝えてほしい。


世間では、優秀な医者、と言えば、

どう思われていると思う?


頭のいい、偉そうな、お金を持っている、

そんな風に思っている。



でも、本来そうではないはずだ。

「優秀」な医者とは、

「優しさに秀でた」医者ということだろう。

「優しさ」とは、「人の憂い」を知る心だ。





この前、こんな医者がいた。


学生時代は何をしていたのかを聞くと、こう答えた。


「もうバスケに夢中でしたよ。

 スラムダンクを読んで以来、ずっとやってるんで。

 特に僕らは、学生時代に遊ばないともう遊べないっすからね」


僕は笑顔を作りながら聞いていた。

彼は懐かしそうに、楽しそうに話していた。

僕がどんな気持ちで聞いているかも考えずに。


きっと、彼は順調な人生を歩んできたんだろう。

楽しい学生時代を過ごし、

これからもしっかり働いて、出世もして、お金も稼いで、

明るい未来を夢みているんだろう。


なんだか哀れに思えたよ。

彼もまた、ユメ幻ばかりを追いかけている、

そんな自分に全く気付いていない。


それで患者に慕われると思っているんだろうか。

信頼されていると思っているのだろうか。

学生時代に何をしていたかと聞かれて、

遊んでいたとしか答えられない医者に診てもらいたいと、

どれだけの患者が思うだろう。


命には限りがあるということも考えたことがないんだろう。

自分が死ぬだなんて、毛頭思わないんだろう。


その人の人生だといえば、それまでだ。



だけど、医者を志すなら、

どうか、病める患者の心に寄り添う優しさを育んでほしい。

孤独や不安な心を思いやる努力をしてほしい。



僕は、今、

自分の人生を振り返らずにおれない。


自分の人生には、どんな意味があったんだろうか。

僕は何をするために、生まれてきたんだろうか。


ひとは、何のために生きるんだろうか。



この問いの意味を理解してくれる人が、

僕の周りにはほとんどいない。


僕は、今、

これ一つが知りたい。

これ一つをはっきりさせたい。

誰かに相談に乗ってもらいたい。


君なら、分かってくれるかな。


君だって、この問いと無関係ではないし、

誰もが、ぶち当たる壁だと思う。


ならば、この問いに向き合ってほしい。

忙しいだろうけど、それを理由に後回しにしないでほしい。


病気を診るのではなく、

病人を診るのが医者なんだろう。


人間と向き合うってのは、

きっと、この問いに向き合うことだと思うよ。



そんな医療従事者が一人でも多く現れることを、

心から願っている。



僕のような人はきっとたくさんいる。



多くの人が、君に期待して待っている。



いい医者になれ。


君ならきっとなれる。



















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