【医は仁術なり】2


仁術とは如何なるものか。


仁術とは、「優しさ」であるとして、前回に続いて考えてみます。



「優しい人」の反対として、

冷たい人、人の心を持たないんじゃないかしら、と思うような人を、

「鬼のような人」と言われたりします。


」は、「遠仁(オニ)」が、語源(音標された字)だと言われます。


文字通り「仁から遠い」。

優しくない、優しさから縁遠い人が、「遠仁」です。



鬼のイメージは、おとぎ話などにでてくる、

青鬼、赤鬼、黒鬼などの、

角や牙を生やして、虎のふんどしを履いて、金棒を振り回している地獄の獄卒

って感じですが、

地獄というどこか、人里離れたところにいるのではなく、

本来の意味から言えば、人の心に棲むもののようです。


地獄は、自業苦(ジゴク)とも書くそうで、

自分の業(やったこと、思ったこと)が生み出す苦しみ、を言うそうです。



では、遠仁とは、どんな心をいうのでしょうか。


相手の立場に立ち、人の憂いに敏感であることが優しさならば、

逆に、

自分のことしか考えられず、

我が身の保身のためならば、周りの迷惑も顧みない

自己中心的な心。


自分のことでいっぱいいっぱいになっている時の自分を思い出すと、反省せずにおれません。




♪ 弱音さらしたり グチをこぼしたり

   他人の傷みを 見て見ないふりをして 


       Mr.Children 「Everything ~It's you~」


「自分だって大変なんだ」

「私のほうこそ、助けてほしい」

など、それぞれが悩みを抱えてはいるわけですが、


それが時に、そして人知れず、無自覚なまま

誰かの苦しみに気付きつつも、

「手を貸してやりたいのは山々だけど・・」

「いま忙しいから・・」

と、自分に言い訳をして

見て見ぬふりをして

本当はもっと大変な人をも、更なる孤独に追いやっているのかもしれません。


そういえば、医療の現場は、鬼のように忙しいと言われることも・・・。

遠仁の心は、

人間だれしもが抱いてしまうことはあると思いますので、

こういう心を持っていることが悪いとか、酷いとか、

そういう議論がしたいのではなくて、


そんな自分の心に気づくことで、

「これではいけない」と反省できる謙虚さと強さが、

優しい、患者さんの立場に立って医療につながるのではないかと思います。