二十一世紀に生きる君たちへ (併載:洪庵のたいまつ)/司馬 遼太郎 (しば りょうたろう)
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君たちは、いつの時代でもそうであったように、自己を確立せねばならない。

――自分に厳しく、相手にはやさしく。という自己を。


   そして、すなおでかしこい自己を。 

21世紀においては、特にそのことが重要である。


21世紀にあっては、科学と技術がもっと発達するだろう。

科学・技術が、洪水のように人間をのみこんでしまってはならない。


川の水を正しく流すように、君たちのしっかりした自己が、科学と技術を支配し、

よい方向に持っていってほしいのである。


(中略)


 鎌倉時代の武士たちは

「たのもしさ」ということを、たいせつにしてきた。
人間は、いつの時代でも

たのもしい人格をもたねばならない。
人間というのは、男女とも、

たのもしくない人格に魅力を感じないのである。



もう一度くり返そう。


さきに私は自己を確立せよ、と言った。
自分に厳しく、相手にはやさしく、とも言った。
いたわりという言葉も使った。それらを訓練せよ、とも言った。
それらを訓練することで、自己が確立されていくのである。


そして、“たのもしい君たち“になっていくのである。


以上のことは、

いつの時代になっても、

人間が生きていくうえで、

欠かすことができない心がまえというものである。



君たち。


君たちはつねに晴れあがった空のように

たかだかとした心を持たねばならない。 


同時に、ずっしりとたくましい足どりで、

大地をふみしめつつ歩かねばならない。 


私は、君たちの心の中の最も美しいものを見続けながら、

以上のことを書いた。 

書き終わって、君たちの未来が、

真夏の太陽のようにかがやいているように感じた。



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何べん読んでも、キュッと気持が引き締まります。