本書は、著者が「ことば」について書いてきたことを、集めてまとめたエッセイ集です。たとえば、電話や手紙のマナー、ことばづかいに関することが書かれています。


書くためには、書き方のスタイルの手本となる本を読むことが必要です。すぐれた文章を読まずに、いい文章が書けるようになることは難しい。いろいろな作家の文章を読みすぎない。スタイルという癖をつけるには、しつけをしてくれる文章を読む。お手本を決める。自分のよいと思うスタイルの作家の作品がよい。それを5回、10回と読み続ける。10回くらいになると、書いてあることがすっかりわかる。すると、表現方法にも目がいく。似た文章が書けるようになる。要領がわかってくる。自分で文章を書いてみる。


表現方法

1、短い文章は、どうしたら書けるか

2、段落はどういう風につけたらいいのか

3、同じことばをくり返さないこと

4、修飾語を減らすこと

5、比喩のつかい方


文章を書くのは、料理をつくるようなもの。文章も「料理人の心」をもって書けば、多少はおもしろくなる。料理は栄養があって体によくても、まずくては困る。見た目はよく、量はむやみに多いより、すこし控え目にした方がよろこばれる。おいしく食べてもらう。材料集めが大切。上達には、休まないこと。毎日書くこと。「そういう連続の中から、その人ではなくては出せない味、スタイルがおのずと生まれてくる。」文章は、読んでくれる人がいなくてはつまらない。「文章と料理と違うところが1つある。料理ならできたてをそのまま食べるのがいちばんおいしいが、文章はそのままではまだ本当の味が出ていない。」しばらく寝かせ、修正を加える。推敲は、声を出して読むとよい。調子を整えるには音読が不可欠らしい。ときには書き直す。「そういうことをしているうちに本当に書きたかったことが明確な形をとる。」夜、書いたものは翌朝に読み返す。朝、書いたら夜に見直す。朝は楽天的で、夜は悲観的。