本書は、ビジネスが実際にどのように動いているのか、何が企業の業績に影響を与えているのか、どうすればビジネスがうまくいくのか、をテーマにした書籍です。


「集団慣性」理論とは、業界にある古くからの習慣を変えたり、先陣を切って新しい仕組みを導入することを躊躇することを指し、「不思議な慣習」に従ったり、なぜその習慣が存在しているのかを考えない現象だと、著者は述べています。多くの業界において、古くからの習慣で、「不思議な慣習」というものが存在します。同じような事は、会社組織内でも起こり得ます。これは、「組織の慣性」または「構造的慣性」と呼ばれています。


「集団慣性」にチャンスあり⁉︎

新聞の紙面は非常に大きい。なぜ、こんなに使い勝手が悪いのに改善されないのでしょうか? 1712年、イギリスで新しい税制度の導入がありました。それは、「新聞のページ数に応じて税金が課せられる」というものです。節税対策として、各新聞社は巨大な紙面にできる限りの情報を掲載し、ページ数を少なくしました。この制度は、1855年に撤廃されています。しかし、当時と同じ大きさ紙面の新聞が、今でも販売されています。


ちなみに、日本の新聞紙面のサイズは、406 × 545㎜でブランケット判。イギリスの新聞紙面のサイズは、375 × 600㎜でブロードシート判です。それぞれ約半分のサイズの新聞が、タブロイド判と呼ばれています。


その他、私が興味を惹かれた「プロスペクト理論」「選択バイアス」「対応バイアス」「フレーミング効果」「大脅威萎縮効果」など、具体的な実例とともにわかりやすく説明されています。


私も、安定を望み、変化を苦手とする性格です。しかし、コロナ禍において、日常生活は変化しつつあります。望む未来をつくり、よりよくしていくためには、変化することも大切なのかもしれません。