本書は、アメリカ大手鉄鋼メーカーのニューコア社CEO(現在は会長)による、長期的な成功を目指すためのリーダーシップをテーマにした書籍です。
経営者が果たすべき普遍的な責務は何か?
「人間の行動や能力を向上させること」や「従業員が会社の目標を達成できるような環境を用意することである。」
環境とは人々が働く物理的な世界はもちろん、文化的な世界も指しており、周囲の考え方や意識、前提などは、物理的条件以上に重要だと位置づけられています。
人が懸命に働くのは、たいがいお金のためか?
ニューコア社では、そのように考えられているようです。
人々の意欲をかきたてる要素は3つ
1、平均以上の収入を得る機会
2、職の安定
3、昇進のチャンス
懸命に働こうがほとんど働かずにいようが、もらえる額は同じだとすると、より懸命に、より賢く働くための日々の動機付けはないんじゃないか、という考えのもと、明確なインセンティブのある報酬体系を築き、社員を自由にした。会社の競争力の維持を社員の創意工夫に任せてきた。給与体系は会社に競争力をつける具体的な行動につなげるべきである。ニューコア社の特徴である、チームワークやずば抜けた生産性、低いコスト、イノベーションの導入、高い士気、低い転職率は給与体系に根ざしており、会社と社員をシンプルな利害関係で結んでいるのだ、と。
マネジャーに期待する能力は、人と触れ合い、意思疎通を図り、効果的な関係を築くこと。そして、アイデアはすべて試させる。管理職は失敗を許す。うまくいかなかった場合、まず自分自身に矛先を向ける。社員が同じ間違いを繰り返さないように力になる。そのアイデアをもう一度試す価値があるのか、あるとしたら、どこを調整して臨むべきかを共に突き止める。失敗にとらわれず、そこから学ぶことが大切であり、ビジネスでも人生でも、目的を達するために不可欠なことだとの方針です。
社員とつながる4つの原則
1、経営陣は、従業員が生産性に応じた報酬を得られるように会社を経営する義務がある。
2、従業員は、職務をきちんと果たしていれば明日も仕事があると安心できなくてはならない。
3、従業員は公平に扱われる権利があり、また、当然そのように扱われると確信できなければならない。
4、従業員には、不公平な扱いを受けていると思った場合に申し立てる手段がなければならない。
本書を読む限りニューコア社は、歩合給制度ということになります。生産能力が売上や利益に直結する業務のため、社員のモチベーション維持や創意工夫に有効だったのだろうと推測します。