水とは何か?

水とは、H2Oと表す通り、水素原子2個と酸素原子1個の化合物です。水は、人間の生命と健康を保つためには、欠かせない重要なものです。あらゆる生き物は、水なしには生きられないし、私たちの体の約70%は、水でできています。「飲み水は天然資源と考えられがちだが、実際は人間がつくる製品と考えた方がよい」と著者は述べています。


19世紀後半の人たちは、「水に命を脅かすコレラや腸チフスの病原菌がひそんでいないか、生きている動物が入っていないか、未処理の下水が混じっていないか」を心配していました。それ以前は、病原菌の存在すら知られていませんでした。イギリス人麻酔科医ジョン・スノーがコレラと汚染水の関連を究明したことが、「塩素を使って水中のコレラ菌を殺す方法」の開発へと繋がっています。この時代では、「無臭」の水にこそ、警鐘が鳴らされたということです。


歴史を振り返れば、飲み水の確保は苦難の連続だったことが分かります。現在、日本に住む我々は、蛇口をひねれば水が出る環境におり、必要に応じてボトルウォーターを購入することも可能です。硬水がよいか、軟水がよいか、どのメーカーの水がおいしいか、安いか、などと考えることも、しばしばです。


世界の一部ではいまだに、衛生的な飲み水を確保できていない国があります。そういった国では、「水を運ぶことが女性と子供の日課になり、生活の向上を約束する教育や雇用の機会」が奪われています。ある報告※1では、7億8,500万人(2021年8月23日現在)が、衛生的な水を手に入れることができていない、とのことです。

※1「ウォーター・オーアールジー」

https://water.org/


今一度、公衆衛生について考える、よい機会を得る一冊となりました。更に「トニックウォーター」に医学的意味があることも初めて知りました。


コレラ菌の画像

http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/archive/gazoudoga/gazou/cholera.jpg


チフス菌の画像

http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/archive/gazoudoga/gazou/typhoid.jpg