私は、毎朝、ドリップコーヒーを一杯作って飲んでいます。夏は、アイスコーヒー。冬は、ホットコーヒー。毎回、種類の違う製品を購入して、どのメーカーの、どの種類が美味しいかを比較しています。しかし、同じ製品でも、美味しく淹れられたり、淹れられなかったり。そんなコーヒーについて、知りたくて読んでみました。本書は、コーヒーの歴史や成分の知識をはじめとして、焙煎や抽出方法、コーヒーと健康に関することなどを科学的に解き明かしてくれる一冊です。
コーヒーの3原種
1、アラビカ種
2、カネフォーラ種
3、リベリカ種
なぜ、コーヒーノキはカフェインを作るのか?
コーヒーノキ(コーヒーの木)で、最もカフェインが多いのは生豆、つまり種子の部分です。「カフェインには他の植物の生育を阻害する作用があり、地面に落ちた種子から溶け出して周りに広がることで、近くに生えている植物を抑えて、自分だけが上手く長生きできるように利用している」。また、新芽にもカフェインが高濃度で含まれています。「カフェインは一部の昆虫や、ナメクジやカタツムリに対して毒性を示し、これらを寄せ付けない効果(忌避作用)があります。」現在は、カフェインに耐性を持つ天敵が、数多く存在しているようです。しかし、カフェインが含まれているから、今日でも、私たちの嗜好品として繁栄しているとも言えます。
現在、コーヒーに関する疫学論文は、1,000以上発表されています。
1、コーヒーを飲んだ後に、大腸のぜん動運動が活発になり、お腹が緩くなる(便意をもよおす)効果が、被験者の約30%に認められる。
2、コーヒー1杯で、肝がんの発症リスクが約20%低下、2型糖尿病の発症リスクが約7%低下する。膀胱がんの発症リスクは、3-5%程度上昇する。
3、コーヒー3杯で、パーキンソン病の発症リスクは、25-30%程度低下する。
※1〜3は、いずれもメタアナリシス
適量の目安
「一般論として、健康な成人の場合、コーヒー3杯以上(カフェイン250mg以上)を一気に飲むと、急性カフェイン中毒の症状が出ることもある」。長期間飲み続ける場合は、「1日4〜5杯くらいまでなら、疾患リスクへの影響はあまり考えなくてよい」ようです。
エビデンスのピラミッド
Anthony L. Rosner, "Evidence-based medicine: Revisiting the pyramid of priorities" J Bodyw Mov Ther. 2011
https://www.academia.edu/21805700