本書では、「汗」に関することが網羅的に解説されています。「汗はいつ、どこで、なぜ、どのようにしてできるか」、体温調節、汗と脳の関連性について書かれている書籍です。
汗腺は、交感神経と繋がっていて、脳（体温調節中枢）からの信号による刺激で、汗の量がコントロールされています。
エクリン汗腺から出る汗
温熱性発汗：身体の冷却に関わる汗
精神性発汗：精神的なストレスに反応しておこる汗
エクリン汗腺から出る汗は「99%以上は水」で、それ以外は無機物と有機物が溶解しています。「汗は、血液を原料」としているため、血液（液体成分の血漿）に含まれている物質はほとんど含まれている、と書かれています。
特殊な場合を除いて、においのない「エクリン汗腺の汗がにおうのは、汗の成分、とくに脂肪が皮膚表面に常在する細菌により分解されて芳香性の物質に変化するから」です。さらに、「汗をかいて皮膚の表面が細菌の増殖を促すのに適した環境となると、細菌が爆発的に増加してにおいがきつくなる」とのことです。
「手のひらや足のうらは精神的ストレスに反応して汗をだす」。適度な湿り気が摩擦を増やし、すべり止めの役割となります。加齢と共に汗が少なくなると、スーパーのビニール袋を開き難くなります。指を舐めてビニール袋を開ける行為は、コロナ禍に於いては危険⁈
アポクリン汗腺の汗
アポクリン汗腺の分布は「個人差が大きい」が、「黒い毛（硬毛）がある部位」にある。脇の下や乳頭、乳輪、陰嚢、陰唇、肛門周囲、おへそ、胸部、下腹部、外耳道、眼瞼などに存在しているようです。
「アポクリン汗腺では分泌細胞の一部がちぎれて管腔内に脱落、これらの断片が集まって汗の一部になる」と書かれています。
汗を誘発する刺激
1、音、光、痛みなどの感覚
2、恐怖、不安、怒りなどの情動
3、暗算、想起、リズム、深い思考などの精神活動
今年も暑い日が続き、汗に悩まされた人も多いのではないでしょうか? スポーツやウォーキングなどでかく汗は、気持ちの良いものですが、通勤や仕事中の発汗は、困りものです。気持ちよく仕事をするためには、汗をかいたら着替えたり、こまめに拭くことが対策となりそうです。