現在、平均寿命はどんどんと伸びています。今日の世代、特に50歳以下の人が受ける恩恵の一つは、長寿だと言われています。長寿の恩恵は、人生、つまり時間が長くなることです。目的意識を持てば、「有意義な人生を形づくるチャンス」が増えることを意味する、と著者は述べています。


本書は、長寿化の恩恵に目を向け、「どうすれば、個人や家族、企業、社会全体の得る恩恵を最も大きくできるか」をテーマにした書籍です。


特に、長寿化時代では、「教育→仕事→引退」の3ステージのうち、仕事のステージが長くなります。著者は、仕事のステージのスタイルをエクスプローラー(探検者)、インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)、ポートフォリオ・ワーカーの3つに分類しています。現在の働き方からマルチタスク型の働き方へとシフトしていくことは、自然の流れのようにも感じられます。北欧やヨーロッパなどの働き方が参考になりそうです。いづれにしても、資産の蓄積と消費のバランスを取ることが大切になります。


資産には、有形のものと無形のものがあります。有形資産は、金銭的資産。無形資産は、スキルや知識、健康、家族、人間関係などです。「切実なのはお金の問題」ですが、「無形の資産」に目を向けると、重要なことが見えてくると著者は言います。


「私にとって何が重要なのか?」「私が大切にするものは何か?」「私はどういう人間なのか?」を考え、知ることは有意義な人生を送る道標となります。長寿化時代において、新しいスキルの学習や地域コミュニティーとの関わり、趣味を極めるための活動なども重要な役割を担います。つまり、無形資産を築く活動が長寿化時代をより善く生きるカギになりそうです。


「長時間働いて、自分の時間をお金に変えるのか、学校や講座に通って時間をスキルに変えるのか、ソファーに寝転がってテレビを見て過ごすのか? 」


働き方や生き方を考える上で、参考になる書籍でした。