現在、私たちの買い物の仕方は、大きく変化してきています。多くの人が、アマゾンや楽天、ヤフーなどのECサイトと実店舗の併用をしているのではないでしょうか。
本書は、消費者の消費行動・購買行動が今後どのように変化をしていくかを示しています。
タイトルの『2025年、人は「買い物」をしなくなる』は、買い物のプロセスが変化をして、買い物をしているという感覚がなくなっていく、ということを表しているようですが、少し違和感があります。
2020年の日本国内におけるBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、19.3兆円です。すべての商取引金額に対する電子商取引金額の割合、つまりEC化率は、BtoC-ECで8.08%です。※1
EC(Electronic Commerce):Eコマース、電子商取引
買い物の仕方が変わる要因としては、買い物に伴う「煩わしさ」を、著者は指摘しています。つまり、店舗に行く、売り場を探す、商品を比較し選択する、レジに行く、支払いをする、家に帰るなどです。これらの共通点は時間です。
本書では、AIや口コミを信頼することによる選択の放棄が起こること。サブスクリプション化や5Gによるデジタルシェルフ(digital shelf)の加速などが、買い物に伴う「煩わしさ」を解消するとしています。
2019年時点で、スマートフォンの世帯あたりの普及率は83.4%です。スマートフォンの普及が、更なるBtoC-EC市場規模拡大の要因になるとされています。※1 今まで、実店舗の棚にあった商品が、今やデジタルシェルフとして手元にあるといえます。
売り手視点としては、今後、売るためには「体験」や「共感」がキーワードになること。「スモールマス戦略」が必要だと書かれています。
著者も述べているように、「この流れに完全に身を任せてしまうのは危険が多いし、抗っていても時代に取り残される。」大事なのは、変化をつかみ、リスクを理解し、選択して、利用していくことではないでしょうか。
データは、書籍ではなく下記を参照しました。
※1
電子商取引に関する市場調査「報告書」2021年7月、経済産業省 商務情報政策局 情報経済課
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/210730_new_hokokusho.pdf