本書は、幸福学(幸せについての学問)の研究者による幸福に関する論文8本が収録された書籍です。


本書で論じられる「幸せ」は、ハッピーな気分や豊かな時間、いい人生といったような、期間の長い状態までを表しています。英語では、Well-being Study、Happiness Study、Positive Psychologyと呼ばれている概念です。


誰しもが、幸福になりたいと願い生きているのではないでしょうか?

しかし、幸福ばかり意識していると、むしろ幸福度が下がるという研究データもあります。期待は自分を疲弊させ、過剰な反応を引き起こし、私生活の充実にマイナスとなる恐れがあります。そして意識的に幸福を追求することで、真に素晴らしい体験から得る喜びの感覚が、むしろ失われるかもしれないというのです。


私たちを幸せにするものは何でしょうか?

健康、お金、人間関係、意義ある目的、フロー、寛容、感謝、心の平穏、ポジティブ思考などが幸福に関係があるといわれています。


1日の3分の1以上を過ごす職場で幸福感を得るために何が必要なのか?

1、将来に向けた有意義な展望

2、意義のある目的

3、素晴らしい人間関係


人は明確で有意義な目標や十分な資源、助け合う同僚などの存在に気がついた時に気持ちが高まり、優れた仕事をしようというモチベーションや仕事と組織に対する認識が向上します。感情やモチベーションを向上させるためには、形や評価、激励、快適感、協力の機会などの対人的な支援行為が必要です。


逆に、相手を軽視する、落胆させる、感情を無視する、対立を煽るなどの行為は感情やモチベーションを下げます。


創造性と生産性を促すのは、職場におけるその人のインナー・ワーク・ライフ(個人的職業体験)の質です。インナー・ワーク・ライフは、感情やモチベーション、認識の相互作用によってもたらされます。インナー・ワーク・ライフの質を高めるのは、「進捗」の力だというデータがあります。本書では、進捗をテコにして、やる気を高める方法が紹介されています。社員やその仕事の効果的なマネジメントには、進捗の力を理解することが重要です。


進捗の力をマネジャーがどう利用するか?

社員が満足を感じているか。仕事への内発的興味により、やる気になっているか。組織や経営陣チーム、仕事、自分自身を前向きに捉えているか。これらが組み合わさって、成果を左右します。プラスの状態では人は仕事への責任感が高まり、周囲の人にもっと平等に接するようになります。


社員がやる気と責任感を持ち、満足するためにマネジャーは何をすれば良いか?

仕事を後押しする行動

明確な目標を定める

自主性を認める

十分な資源や時間を提供する

仕事を手伝う

問題や成功から素直に学ぶ

アイディアの自由な効果を認める


逆に阻害する要因は何か?

支援を提供しない

仕事に干渉する


小さな成功であってもインナーワークライフを大いに高めることができます。


成功している社員の2つの特徴

第一の特徴として、情熱に溢れ活力をみなぎらせている。第二の特徴は、新しい知識や技術を身に付け、成長するための継続的な学習です。学習を積み重ねると技術面で優位になったり、専門家として一目置かれたりします。


個人や組織が長期的に高いパフォーマンスを上げる要因

社員の成功を後押しする企業文化は今すぐにでも培えます。すなわち、社員が順調に生産性を高めるような状況(熱意を引き出し続ける)を作ることができます。そのための環境作りには、判断の裁量を与える、情報共有する、ぞんざいな扱いをなくす、成果についてフィードバックを行うという4つの方法が有効のようです。


幸せや幸福といった感情は、さまざまな要素が組み合わさって感じられる気持ちだと、私は思います。「何をしている時がいちばん幸せかを発見し、その活動に定期的に関わることで、私たちは充実した人生を送ることができる」と述べられています。