貧乏はどこへ行った? に、ついて…

 

手持ちの本を読み切ってしまったので、久しぶりに本棚から取り出した村上春樹さんのエッセイ集『村上朝日堂 はいほー!』を読み返した。

 

 

これ、たしか学生時代に自動車教習所に通いながら読んでたんじゃなかったかな。

発行が1992年5月?

あ、やっぱりね。

収録されているエッセイが実際に雑誌に連載されていたのは1980年代の中~後半頃。主に『ハイファッション』(発行:文化出版局)という雑誌に掲載されていたエッセイを集めた文庫本だ。

 

時々読み返しているのだが、今回は……10年ぶりくらいに読んだのかな?

 

収録されたエッセイはどれも面白いのだが、その中に「貧乏はどこへ行った?」という一編があり、今回はそれがとても気になった。

 

エッセイの内容は、村上春樹さんが学生の頃は全然お金がなくて貧乏で、周囲の友人達にもお金持ちなんていなかった。結婚してからも貧しさは変わらず、毎日をなんとか生きていた。でも、今は貧乏なんてものはなくなった。みんなちゃんとそこそこの暮らしができるようになっている。貧乏っていったいどこへ行ったんだ? ……といったもの。

今これを読むと、もうなんというか、隔世の感がある。

 

いわゆる「バブル景気」は1986年12月から始まったとされているので、この連載が書かれていたのはバブル前夜の時期ということになる。

 

この頃の日本は、

一億総中流 で、

終身雇用と手厚い社会保障 で生活は安定していて、

・何より「今年より来年はもっと良くなる!(良い暮らしができる)と、国民全員が信じていた時代だった。

 

今はどうだろう。

貧乏はどこへ行った……どころじゃないっすよ。右を見ても左を見ても、貧乏と景気の悪い話ばかり(自分自身を含めて……)

将来のことを考えれば不安ばかり。

終身雇用も手厚い社会保障もなくなった。年金、保健、電気代は爆上がり。

 

給料から天引きされる税金と保険料も天井知らずに上がっていく。

 ↓

 

来年のことなんて考えられず、今日を生きるのに精一杯。

 

困るね、ホント。

最近、村上春樹さんはエッセイは書いておられないようだが、今の日本のことを書いてくれたら、果たしてどんな内容になるんだろーね。

 

といいながら、今度は『村上朝日堂の逆襲』を読み返そうと思う。

 

 

これも「ハイホー!」と同じ時期に、教習所の待合室で読んでたなー。

 

小田急線相武台駅近くの都南自動車教習所。

本を読みながら教習の順番を待っていたら、所内のコースを走っていた教習車(都南の教習車は濃紺のBMWだった)がスピードの出し過ぎでコースアウトして、建物の壁を突き破ってきたもんなー。

あれはびっくりした。

 

そういえば教習所の待合室で偶然会った、バイト先の酒井ちゃん(女子)は、元気にしてるかなー。目が大きくて可愛かったよなー。

 

 

本棚から本を取り出して読み返していると、その本を初めて読んだ時の思い出も蘇ってくるね――。