【時代劇局長のズバリ感想文】


いよいよ関ヶ原が描かれる。珍しく、西軍側の視点になるが、果たしてどんな風に描かれるか注目だ。


①冒頭の解説はなし


冒頭の言葉は『関ヶ原』。まさにそのままだ。しかし、そこには解説はなし。どうしたのだろう。とにかく見てくれという事か?はたまた演出上の都合で本編の時間が押し、解説の時間が取れなかったのか?本当の事は分からないが、今回は『ふたつの関ヶ原』というタイトルを付けている以上は、しっかり解説して欲しかった。


②西軍視点の関ヶ原


家康軍を挟み撃ちする事なく、関ヶ原が始まってしまった。真田は徳川秀忠軍を足止め。これは見事だ!放送回数の関係でじっくり描けないのが残念だが、関ヶ原の戦いが起きるまでの部分はコンパクトで分かりやすかった。これまで何度も大河で関ヶ原が描かれてきたが、西軍からの視点で描いた大河はこれまでほとんどなかったのでは?それを考えると、もう少し詳細に描いて欲しいという気持ちもあるが・・・。いつも勝者ばかりを取り上げてきた大河だが、数年後でもいい!”敗者”となった石田三成、大谷吉継などを主人公にして作り上げて欲しいものだ。そして、敗者=悪というイメージを払拭して欲しいものだ。


③戦前の秀秋の態度に疑問


ご存知のように、小早川秀秋の寝返りによって関ヶ原の決着が着いた。関ヶ原が始まる前は、爽やかな顔で三成に応対する秀秋。その姿に、三成は全く疑う気持ちはなかったであろう。秀秋の寝返りについては、当初から東軍と内通していた説、北政所からの指示によるものなどいろんな説があるが、関ヶ原参戦時から三成から不審に思われていたと言われている。秀秋は三成を騙そうとしてあんな笑顔を浮かべたのか?それとも、あの時は西軍に加担すると心を決めていて、その後、何かが起きたのか?秀秋の心の動きがしっかり描かれなかったのは残念だ。


④秀秋の寝返り演出には疑問


いつまでも動かない秀秋の元へ三成が・・・。おいおい、こんな事がありうるのか?ちょっと演出に無理があるような気がする。三成の『関白に・・・』という約束に、秀次を思い出した秀秋。逆に家康からは別の誓詞が・・・。ドラマではこれが寝返りの大きな決め手になったように描かれていたが、『そんな単純なモノではないでしょう』と言いたい。秀秋の寝返りについては、もっと別の描き方があったように思われる。これはNHK側の失態だ。


⑤三成を改めて顕彰したい


秀秋の寝返りによって西軍は大敗を喫した。勝利のみを考えていた三成は、まさかこのような事になるとは思ってもいなかったであろう。もちろん、大谷吉継も、島左近も・・・。今大河は直江兼続が主人公だけに、誰しも西軍贔屓で見ていたと思う。筆者もそうで、正直、とても悔しい気持ちだけが残った。三成をもっと顕彰したい。心からそう思った今作品だった。


⑥兼続と三成がリンクしない・・・


残念だったのは、関ヶ原中に石田三成と直江兼続がリンクしなかった事だ。当然の如く、三成は兼続の事を思い、兼続も三成を心配していたと思うのだが・・・その辺りの描き方が足りなかった。三成が敗走するシーンではじめて三成が兼続を思い出すシーンが出てきたが、『遅すぎる!』と言いたい。兼続と三成の友情物語を描いたのだから、最後までそれを貫いて欲しかった。たとえそれが演出でもいいから・・・。


⑦初音よ、ちゃんと三成を守れよ


あっさり描かれた感のある関ヶ原。願わくばもう少しじっくり・・・と思ったが、所用時間的には及第点では?大谷吉継、島左近などは登場回数が短かったが、それなりに存在感を発揮したのでは?佐和山城に逃げた三成は初音に会う。『またこの女か!』と思ったが、三成を洞窟のような場所にかくまう初音。『こんなところでいいんかい?』と思ったら、初音が離れてすぐに見つかってしまった。おいおい・・・。水を飲む際に光が差し込むシーンも無意味だったような・・・。史実では、この水で下痢をしたという話もあるが・・・。


⑧前田慶次が出て来なかった


西軍の敗北を信じられない兼続。すぐさま、最上、伊達が動き、上杉軍は会津へと戻った。兼続がしんがりを務めるが、この兼続の行為は今に伝わるものである。諦めた時、前田慶次が説教し、励ましたとの話も残るが、結局、前田慶次は出て来なかった。最後の最後にキャストを発表する隠し玉と思っていたが、本当に出て来なかった。これは残念!さぁ、兼続は、最上と伊達の猛追をどう切り抜けるのか?来週に期待だ。


【来週の展望】


三成が捕らえられた。家康と対面し、最後は斬首となるが、本当に悔しい!そして、兼続は?来週も楽しみだ。