【時代劇局長のズバリ感想文】

①あいつが悪い

冒頭の言葉は『あいつが悪い』。五大老制度によって力を押さえ込まれていた家康が、秀吉の行った利休切腹、朝鮮出兵などを、三成に執政の責任として押し付けた・・・。だから、『あいつが悪い』とは、家康が三成を指しているものだ。こうして家康は、三成を悪者にする事で味方を増やしていく事になる。これまで家康を主人公にドラマは数多く放送されてきたが、ここまで”悪”になった家康は初めてでは?全て家康を”悪”と捉えるつもりはないが、このドラマにおける家康は完全に”悪”である。徳川家康に対する印象もだいぶ変わったのでは?さぁ、そんな中、起死回生の秘策が飛び出す!それは、あれだ!ドラマをじっくり見るべし!

②なぜ三成が蟄居?

慶長4年(1599)前田利家の亡くなったその夜、福島正則ら7名の武将が三成を討つべく挙兵した。絶体絶命の中、三成は敵方の家康の元に逃げ込むが、結局、三成は、蟄居を命じられる事になってしまった。よくドラマでも描かれる有名な出来事だが、おいおい、ちょっとおかしくないか!三成を襲ったというのは、現代で言うと、殺人未遂である。普通だったら”乱心”の福島らに罰を与えるべきで、三成が蟄居とは・・・。正直、この辺りの動きが筆者にはよく分からない。挙兵したのは、加藤清正、福島正則、黒田長政、細川忠興、浅野幸長、池田輝政、加藤嘉明。家康が仲裁に入り、三成は奉行職を辞する事になるが、いずれにしても、家康の力が既に強大だった事を窺わせる出来事だ。

③兼続に勝機は?

三成が蟄居した後、家康は伏見城に入城した。これで秀頼の後見人として事実上の天下人となるが、毛利輝元、直江兼続は許さない。大老、奉行たちの会議の席で、毛利が勝手に政を進める家康を批判するが、家康はこれに応じる事はなかった。むしろ、三成と兼続こそ、天下の政を私物化していると糾弾。景勝と兼続は猛反論するが、家康に帰国を促されてしまう。どこまで狸オヤジなのか?!と思うが、これを家康の挑戦であると読んだ景勝は帰国を決断する事になる。武力で対抗するしかないとふんだ訳だが、兼続に、この時点でどこまでの勝機があったのだろうか?五大老の中に家康を入れてしまったのが失敗かっ!

④兼続はどんな作戦で?

兼続は帰国途中に、蟄居中の三成に会いに行った。そんな事が可能なのか?と思ったが、それは置いておこう。事実、直江兼続と石田三成が本当に密約していたのかは分からない。しかし、それ相当の事はあったと思われる。三成も『家康に立ち向かい、正義を示さねばならぬ。やるからには勝たねばならぬ』と、並々ならぬ意欲を見せていた。ここで、兼続による起死回生の秘策が飛び出した。いずれ会津に攻めてくる家康を予測。その策を三成に伝えたのである。その策とは、諸大名を従えて会津征伐に赴いてくる家康を東西から挟撃する策だが、聞くだけなら見事な策である。でも、最上、伊達を後ろにどう迎え撃つのか?ここでも兼続にどのくらいの勝機があったのか?聞いてみたいところ。しかし、兼続は恐ろしい作戦で家康を迎え撃つのである。以前、火坂先生にインタビューした際、『このシーンは完全CGで再現されます』とおっしゃっていたが、これは見ものだ。

⑤初音ってホント何者?

おいおい、初音がちゃっかり三成のそばにいるが、初音は何者?信長付き⇒真田幸村の姉という流れから、確かに西軍にいるのは間違いないと思うが、初音の役割がよく分からない。今では、『大河ではいらないキャラだったのでは?』と思うが、存在するならもっと兼続寄りでも良かったのでは?

⑥悲劇の武将

石田三成と直江兼続は、『また会おうぞ。必ず・・・』と別れを交わすが、これが2人の今生の別れとなってしまった。ううう・・・残念!でも、今大河では、2人の関係を非常によく描いていたと思う。ご存知のように、三成は関ヶ原で敗れるが、『なぜ”義”と”善”の三成が敗れるのか?』と、筆者は神を恨んでしまった。三成はまさに悲劇の武将だ。

【来週の展望】

いよいよ来週は、あの”直江状”が登場する。タイトルが『家康への挑戦状』となったのは残念だが、逆に『直江状』とタイトルに入れる方が不自然かな?”直江状”によって家康は会津に挙兵。三成も、畿内が手薄になったことを見計らって家康討伐を目指して挙兵する。ドラマはいよいよ大詰めだ!