【時代劇局長のズバリ感想文】


今回は、意味不明なタイトルだ。単純に考えると、兼続が5人に増えるのか?と考えてしまうが、そんな事はありえない話で、全くの例え話をそのままタイトルにしたと推察した。でも、果たして5人とは?それでは今週の感想文にいきましょう!


①泣くまで待つよ


冒頭の言葉は『泣くまで待つよ』。ご存知!『泣くまで待とうホトトギス』という言葉で御馴染みである。それを、『泣くまで待つよ』という表記にした意図は分からないが、誰もが知る言葉だ。これは後世の人が、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三人の人間性をそれぞれ句にして詠んだもので、『泣かぬなら殺してしまえホトトギス』が信長。『泣かぬなら泣かせてみせようホトトギス』が秀吉。そして、『泣かぬなら泣くまで待とうホトトギス』が家康である。無理せずに、機会がやってくるのをじっと耐えて待つ・・・という意味に用いられる言葉だ。でも当時、家康も60を過ぎた高齢であった。待っている余裕などあったのか?と突っ込みたいところだが・・・。


②ちゃんと繋がる五人の兼続・・・


『兼続にもしもの事があれば上杉はどうなるか?』と、景勝は兼続本人に直接語っていたが、まさに上杉は兼続によって保たれていた。『兼続が5人おれば・・・』とも言っていたが、仮に兼続が5人いたらこれからの上杉に心配は全くないという景勝の心情がとてもよく表れていた。でも、これだけで簡単にタイトルにするものか?だったら、なんてセンスのない脚本家か?と思うだろう。しかし、この話は後半にちゃんとつながっていたのだ。


③兼続といえば妻夫木聡!


兼続が今話から髭をたくわえて登場した。妻夫木さんのさわやかな顔に髭は違和感があるが、肖像に髭顔が残っている以上、髭は当然の如く生やしていただろうし、歴史的な事を考えたら納得がいく。かつての大河ドラマ『武田信玄』で、中井貴一さんが信玄を演じた時、これほど髭の似合わない俳優はいないのでは?と思ったが、回を重ねるごとに似合ってきた。信玄といえば中井貴一!と言っても過言ではないくらいピッタリとハマっていた。今後、『天地人』が民放でも撮影される機会があると思うが、兼続といえば妻夫木聡!となるように祈るばかりだ。


④渡辺謙は凄かった!


景勝からの全幅の信頼を受け、執政となった兼続。そんな中、謀反の疑いで高野山に追放された豊臣秀次が、切腹したという情報がもたらされた。なんと!妻子や側室も京都三条河原で処刑される悲劇になったが、謀反には伊達政宗も関わっていたという話がある。劇中でも政宗が真偽を問われるシーンがあったが、残念ながら迫力に欠けたシーンであった。もちろん、政宗は主役じゃないから・・・という理由もあるが、今後に尾を引くようなシーンではなかった。クールに演じている松田龍平ではあるが、もっと危険な匂いがしてこそ政宗のような気がする。過去の大河を例に出すのはよくないかもしれないが、渡辺謙さんの凄さを感じた次第だ。


⑤北政所と家康の関係

『これからも気がかりな事が
あれば、何でも言うてくだされ』。北政所が家康に言った言葉であるが、この2人の関係が怪しい。怪しいと言っても、もちろん男女の関係ではなく、別の意味でつながっている様子だ。それはまだ明確になっていないが、小早川秀秋が東軍に寝返った理由に、北政所の指示があったという話もあるくらいだ。今後の北政所と家康の関係に注目だ。


⑥初音はドラマで貢献するか?


久しぶりに初音が登場したが、このオンナ・・・やはり存在価値が分からない。誰もが浮いているキャラクターと思っている事だろう。救いは真田の女という事だけか?それとも大どんでんがえしが?個人的には、長澤まさみが可哀想なので、ドラマでそれなりの貢献をして欲しいと思うが・・・。


⑦絆と対立


度重なる兼続の面談要求を拒否し続けた三成。しかし、秀吉を介して兼続はようやく対面する機会を得た。一旦、その場を立ち去った三成だが、秀吉から恐るべき事実を知らされる事に・・・。なんと!秀次の妻子、側室を殺すのにストップをかけていたのは三成だったという事実だ。これが歴史的に本当かどうか分からないが、ドラマでは『本当は良い人』である三成の存在がとても大きく見えた。そして、これでより一層、兼続と三成の絆が強まった。一方、家康とは誤解のまま。対立はさらに強まる。良い演出だ!無口な景勝の発言も良かった!

⑧五人の兼続

本当の意志を示す事なく、家康などから誤解されたままの三成。そんな三成に『もっと早く気づいておれば良かった』と兼続は謝った。そして、政の体制を改める提案をした。その提案とは、『兼続が五人いれば・・・』と言った景勝の言葉から、五大老を置く体制であった。教科書にも載っている”五大老”が兼続いよる提案であったとは考えにくいが、三成が秀吉の側近として政に関わっていたなら、ありえない話ではないかも。兼続は、五大老に徳川を入れる提案をするが、これは確かに理に適った提案だ。現代で言うと大臣職にあたり、企業でも、社長の下に専務、常務、部長などが置かれるシステムが確立されている。それを考えると、この五大老という制度がいかに有効だったかがよく分かる。しかし、秀吉亡き後、家康は重要事項を単独で処理する行動に出るのである。また、直江状につながる上杉の謀反疑惑にも繋がる事になる。それを考えれば、果たして五大老という制度は有効だったのだろうか?と考えてしまった。

【来週の展望】

来週は、いよいよ会津へ転封となる。越後を離れるのはさぞかし辛かったであろうが、そこがどんな風に描かれるか注目だ。そして、本編最後に倒れてしまった秀吉も・・・。