【時代劇局長のズバリ感想文】

天下統一を果たした秀吉の唯一の欠点は世継ぎが早く生まれなかった事だ。これは誰もが知る事だが、世継ぎが早い段階で生まれていたらどうなっていたか?逆に知りたい事だったりする。さぁ、それでは今話の感想文にいきましょう。

①世継ぎはまさに重大な悩み

冒頭の言葉は『日本一の男の悩み』。子供に恵まれなかった秀吉が養子を次々ともらい、一門を堅めていたエピソードが紹介されていた。これが50を過ぎてからの悩みだけに、”日本一の男の悩み”というのは的を射ている。今回のタイトルは『世継ぎの運命(さだめ)』。今回は秀吉のみならず、”世継ぎ”について多角的に語られる回であった。

②今の時代、どのように伝わっているか?

秀吉の命で朝鮮に出兵した兼続と景勝だが、戦況が芳しくない中で帰国命令が出た。秀吉に新しい命が誕生したのが理由だが、景勝と兼続は『なぜ?』と、疑問を持ちながら帰国したであろう。この戦によって朝鮮は大きな影響を受けたが、現地の現代人にはこの戦いはどのように伝わっているのであろうか?と気になった。

③小早川秀秋登場!

秀吉の養子・秀俊が登場した。ご存知!のちの小早川秀秋である。軽いキャラで、本人も『口数が多い』と自認していたが、その性格はどのようなものであったであろうか。秀秋は、元々木下家定の子で、北政所の甥にあたる。秀吉にはとにかく非常に可愛がられたと聞いている。事実、朝鮮出兵の際には、なんと!16歳の若さで総大将として出陣しているのである。この時、自ら槍をふるって敵兵を惨殺したと伝わっているが、その性格は”キレたら手がつけられない”と現代の若者と似通っていたようだ。ご存知!関ヶ原の時は松尾山に陣取って高みの見物をしていたが、なかなか動こうとせずに家康が大砲を打ち込んだのは有名な話。ある意味、相当臆病者だったのではないか?だからこそキレやすかったのかもしれない。秀秋が東軍に寝返った説もいろいろあるが、今大河ではどのように描かれるのであろうか。それはそうと、秀秋役の上地雄輔さんは適役だと思う。

④秀俊を諭した景勝

秀吉と淀に男子が誕生した事で、秀俊(のちの小早川秀秋)が、他家に養子に出されようとしていた。景勝と兼続は毛利輝元に『上杉家へ』と頼まれ、また、秀俊からも『養子話を断ってほしい』と懇願するが、ここで景勝が秀俊を諭した言葉は、『今の私があるのは、己の定めを受け入れたから・・・』。この言葉は効いた!現代でも、己の生まれてきた環境に不満を持つ事があるが、人にはそれぞれ役割があり、それを運命と思う事でどれだけ前向きに生きられる事か!景勝の諭し方は今話のMVPだ。

⑤秀次に欲がなかったら・・・

秀吉に子が生まれた事で、豊臣秀次の世継ぎの座が危うくなってきた。秀次は、秀吉の姉の子で、秀吉の嫡男・鶴松が死去した事によって秀吉の養子となり、秀吉の後継者として関白職となった。しかし、世継ぎが生まれた事で、やがて謀反の疑いをかけられ、高野山に追放。そして、切腹して果てた。可哀想だったのは、秀次の一族、妻妾、息子、娘、家臣の多くが粛清された事だ。ドラマでは秀吉が頭を下げ、秀次は聞く耳を持たないというシーンがあったが、秀次に『実子が生まれたなら仕方ねーな』という気持ちが少しでもあったならば、歴史もまた変わっていたのでは?ちなみに筆者は、上に立つのがイヤなので、潔く譲るが・・・。そんな簡単な問題ではないんだろうなぁ~。

⑥兼続も悩んだ世継ぎ問題

兼続とお船に待望の男子(竹松)が誕生した。『面目ない』と謝る兼続に対して『気にするな』と景勝。しかし、景勝を気遣って、兼続は嫡男を殺そうとした・・・という話や、竹松誕生前の兼続は世継ぎに悩んでいて、実は養子を迎えていた・・・という話もある。直江家の世継ぎ誕生は喜ばしい事だが、やがて家康の家臣・本多正信の次男・政重を養子に迎えるという驚くべき挙に出る兼続。これは関ヶ原後の上杉家を存続させるためだったと言われているが、お家の事情によって世継ぎ問題も大きく変化するという事を実感させるエピソードだ。

⑦友情の会話

伏見城が完成し、諸大名が祝いに駆けつけた。その席で、”秀吉に進言している男”として、家康や輝元に嫌みを言われた三成。義が強すぎるが上に、嫌われてしまう三成だが、それを唯一理解していたのは兼続であった。寝っ転がり、『また越後に行きたいのぉ~』。『いつでも来い!大いにもてなすぞ』。これは明らかに友情の会話だ。三成のそばに常に兼続がいれば、三成もここまで嫌われずに済んだのかもしれない。関ヶ原まであと6年かぁ~。大谷吉継は出てこないのか?と思ったのは私だけではないだろう。

⑧お涼の立ち位置は?

お涼が教育係として越後の地を踏んでいた。お涼は千利休の娘であるが、今大河ではある意味架空の人物。正直、『越後にいるなんてありえねーよ』と突っ込みを入れてしまった。しかも、『しばらく越後で暮らしてみては?』と兼続。お涼は今後どうからんでくるのか?お船との関係は?でも、話をややこしくするのは御免だ。

【来週の展望】

お涼が再登場した事で、枠が狭くなったところに、初音が久々に姿を現すようだ。お涼の立ち位置も不明だが、初音はもっと分からない。どうするのか?全て脚本次第だ。そして、京では秀次が謀反の疑いをかけられていた。伊達政宗も謀反に関わっていたと言われているが、ここは政宗もしっかり登場させて描いて欲しいものだ。