【時代劇局長のズバリ感想文】

今回から”独眼竜”伊達政宗が登場!あの渡辺謙さんが演じた大河ドラマが強烈だっただけに、伊達政宗には特別な思いがある。ドラマにもよく出てくるが、渡辺謙さんの政宗を大事に思っているのか?ヘンな役者に簡単に演じて欲しくない感じ。以前、大河ドラマ『葵徳川三代』で、晩年の伊達政宗をすまけいさんが演じてガッカリ(失礼)したが、今回の政宗は若い政宗だ。演じるのはあの人!それでは感想文にいきましょう。

①政宗登場!

今回の冒頭の言葉は、『遅れてきた大物』。ご存知!独眼竜・伊達政宗の事である。番組でも紹介していたが、政宗は1567年生まれで、兼続より7歳。秀吉より30歳も若かった。プロ野球で例えると、長島、王世代が秀吉と家康。清原、桑田世代が政宗という事になる。それでも、”東北の暴れん坊”と真っ向勝負を挑もうとした政宗。今回は”北の独眼流”伊達政宗が登場だ!


②政宗の今後

1589年。与板城に戻ったお船は静かに暮らしていた。しかし、兼続は東北のお目付役を命ぜられ、忙しい毎日を送っていた。そんな中、東北の伊達に不審な動きが・・・。この頃政宗は、秀吉の私戦禁止命令を無視して度重なる侵攻を行っていた。秀吉は上洛を促す書状が届けるが、政宗は黙殺。実に血の気の多い若者であった。この時、政宗は実に22歳。”生まれてくるのが遅すぎた”と評される政宗は、今後、秀吉と戦うべきか小田原に参陣すべきか迷う事になる。


③実頼と茶々は?

京に残った実頼は、相変わらず、秀吉と茶々のそばにいた。秀吉には『上杉だけが頼りぞ。伊達は上杉に任せる』と言われ、茶々からも『上杉には期待しておるぞ』と言われる始末。特に茶々の目は実頼から離れない。このところ、茶々は実頼に何かとちょっかいを出しているが、これは茶々と実頼に今後何か動きあり?の予感。むしろ何もないわけがないという展開になってしまった。さぁ、どうなる!?


④もったいぶって欲しかった


京の実頼から、秀吉による伊達討伐の書状が届いた。そこで上杉が取った行動は、兼続が政宗に会って説き伏せる道だった。ここで、鎧兜に身をつつんだ政宗の映像が流れたが、おいおい!もう少しもったいぶっても良かったのでは?正直、伊達政宗との対面のシーンがここで盛り下がってしまった!そう思ったのは筆者だけであろうか?


⑤米沢城登場!


米沢城に出向いた兼続。セットではあるが、米沢城が初登場した。筆者が長年過ごした米沢にあった城で、出ただけで胸が熱くなった。天守のない平城だったと聞くが、現在は上杉神社(松ヶ崎公園)として市民の守り神になっている。格闘家に転向した石井彗は上杉謙信を崇拝し、毎年新年を迎えると上杉神社に参拝しているそうだ。まだ行った事のない方は是非上杉神社へ。なお、伊達政宗生誕の地という碑もあるので要チェックだ。


⑥思いが強すぎるから?


政宗が登場した。演じるのは松田優作さんの長男・松田龍平さん。その面構えは伊達政宗にぴったりだ。のちに兼続が織田信長の話をするが、まさに松田政宗は吉川信長と雰囲気が似ていた。これは意識的?それとも?でも、ナイスキャスティングだと思う。さて、兼続は政宗との対面の前に片倉景綱に会うが、むむむ・・。誰この俳優?調べてみると”曽根悠多”なる俳優であった。申し訳ないけど、知らん・・・。これが大河ドラマ『独眼流政宗』だったら、西郷輝彦なのだが・・・。曽根さんには悪いが、ちょっと存在感が薄い感じ。片倉景綱は脇役ではあるが、政宗を支えた、直江兼続に匹敵するほどの名参謀。それだけに、もっと存在感ある俳優さんにして欲しかった。う~ん。筆者が『独眼流政宗』に思い入れが強すぎるのかな?


⑦兼続が引き立たせた政宗


兼続が伊達政宗と対面した。政宗が隻眼である事を事前に知っていたのか?驚く事なく政宗に対峙した兼続。しばらく顔を合わせずに数秒間を取った演出は良かった。そして、『わしの隻眼が珍しいか?』と聴く政宗に対して、『世の中のありさま全てを見通せる伊達殿ならば隻眼で十分。乱世は既に終わろうとしている。もはや力のみに頼り、それを奪い取る時代ではござらん。これ以上の無謀な戦はおやめなされ』と兼続。それでも、『ふん』と笑う政宗。そして、刀を取り出し、兼続に斬りかかる政宗。ちょっとやりすぎじゃないの?とも思うが、初登場のインパクト十分だ。正直、こんな事実があったとは考えにくいが、相手が兼続だからこそ、”伊達政宗”が生きたのだと思う。


⑧愛姫を演じた女優は?


兼続に斬りかかろうとした政宗の先には愛姫(めごひめ)の姿が・・・。愛姫は政宗の正室だ。演じるのは杏さん。あの『独眼流政宗』を演じた渡辺謙さんの娘だ。なんという因縁であろうか。NHKもなかなかにくい演出をするものである。しかし、『なぜあの者をお切りにならなかったのですか?』と恐ろしい発言。『斬るに値せん男だからだ』と政宗は答えるが、ここは愛の文字を掲げている兼続に対して、愛姫は”私と同じ字である愛を掲げている直江殿”などと言って欲しかった・・・が、ここまでしてしまうとやりすぎかな?


⑨必要以上に兼続を意識する家康


今回の話は、”政宗登場”がメインだったが、徳川の動きもしっかり描かれた。すっかり悪役という雰囲気の家康だが、必要以上に直江兼続を意識している模様。直江状に向かう上での”種蒔き演出”がしっかりなされているのには好感を持った。これからも家康に兼続を意識させて、直江状をピークに持っていって欲しいものである。


⑩兼続の第一子とは?


兼続とお船に待望の第一子が誕生した。いろんな史料を読むと、第一子・お松は1985年に誕生とある。ん?この辺りの詳しい事実は筆者にはよく分からないが、最初の子は女児だったのは間違いない。それにしても、お船は偉い!子を産む前にひとり苦しむも、『旦那様は今が大事。お腹の子を無事に産むのが妻の務め』と、多忙な兼続に余計な事を考えさせない配慮。現代では考えらない事である。あくまでもドラマだから・・・であるかもしれないが、戦国の世の女性はみんなこうだったんだろうなぁ~。


⑪グチャグチャですなぁ~


女児誕生に喜ぶ兼続だが、伊達が会津の芦名家を滅ぼしたとの知らせが入った。兼続の説き伏せも全く意味のないものになってしまったが、同時に北条が真田領に侵攻。秀吉は三成に北条攻めを下知した。その頃、徳川には小田原からの使者として北条家家臣の遠山康光が登場!まさにグチャグチャの人間関係である。誰が味方で誰が敵か?いつ寝首をかかれてもおかしくない時代だが、改めて恐ろしさが伝わってきた。グチャグチャに描いたのは正解だ。そんな中で兼続はどう生きる?


【来週の展望】


秀吉による小田原攻め。これで天下を統一する事になるが、政宗も小田原が落ちる前に秀吉の前に参上する事になる。予告編に”戦のない世のために愛を掲げます”なるセリフがあったが、簡単にはいかなかったこの時代。