【時代劇局長のズバリ感想文】

早くも第24回。後半への折り返しまできてしまった。始まる前は、『早く始まらないかなぁ~』と期待に胸ふくらんでいたが、いざ始まると『ずっと続いて欲しい』と思うのは毎年同じ。しかし、物語はこれからもっと面白くなる。さぁ、今回も感想文にいきましょう。

①222万石

冒頭の言葉は、『222万石』。秀吉の石高について解説されていた。直轄地だけで222万石との事だが、現代においては馴染みのない石高制度。石高は土地の生産性を石という単位で表したものである。人間が1年間に食べる米の量を基準にして設定されており、キロに換算すると約150kgと言われている。と言っても、我々には理解しがたいので、現代の米の生産量でみてみよう。農林水産省の昨年のデータでは、日本全体で882万3000トン、そのうち新潟(越後)は、64万4100トンである。これを、1トン1000グラム、1石150kgとして計算すると、日本全体で約5882万石になる。う~ん。結果的に、『だから?』と思ってしまう。確かに今の収穫量と昔の石高を比較してもよく分からない。筆者なりの解釈もあるが、正確に伝える自信がない。大河で、もっと分かりやすく説明してくれるとありがたいのだが・・・。

②前田利家登場!

上杉景勝が、ついに上洛の途についた。”わしは何があろうと上杉の義を貫く”そう宣言した景勝。普段は無口なだけに、妙に説得力がある。景勝はこの差がいいのかもしれない。上洛に当たって前田利家の出迎えを受けたが、利家を演じるのは宇津井健さん。大河ドラマ『武田信玄』で、直江実(景)綱を演じたのが思い出されるが、(失礼ながら)高齢なのに元気な姿を見せてくれるのは嬉しい限りである。唐沢寿明さんが老けメイクで登場するともっと良かったのだが、それは『功名が辻』で実現したっけ。あれは嬉しかった。利家は、愛の兜について『愛染明王から・・・』と、答を聞くまでもなくひとりで納得していたが、慈愛の愛、愛民の愛・・・と理解してくれる人が出てくるのはいつ?それはとうと、『これからは、人と人との話し方が大事な世の中』と言っていたが、これは今でも言っている事。コミュニケーションは永遠のテーマなんだろうなぁ~。

③実は、『愛』には驚かなかった?

利家に『辛抱なされよ』と忠告され、いよいよ都へ。京の映像をたくさん挟み込む演出はなかなかユニークであった。これも現代ならではの演出である。馬上で颯爽と『愛』の前立ての兜を身につける兼続に注目が集まるが、確かに初めて見る『愛』の兜には驚く。筆者も『こんな人がいたのか!しかも、その人は筆者ゆかりの米沢にいた人だった・・・』という事実には驚かされたが、愛の意味を考えると、当時と今とでは解釈が違ったのではないか?と思う。夢を壊すようだが、当時は字を読めない人もたくさんいただろうし、今ほど『愛』という言葉が日常で頻繁に使われていたとは考えにくい。なので、意外に『愛』の兜に反応を示さなかった人が多かったのでは?まぁ、あくまでも筆者の勝手な推測ではあるが・・・。正直、『私のテーマは愛である』と現代において人に宣言したら、偽善者と言われるのがオチである。火坂先生も中学時代、野球帽の庇に『愛』と書いていたら、先生にメチャクチャ怒られたと言っていた。でも、『愛』をテーマに掲げて生きたいと思う人は多いのでは?筆者もそうだし、出来れば掲げたいくらいだ。でも、24時間全てに貫くのには自信がない。それを考えたら、兼続の精神力は異常に強かったと言えるのではないか。

④お涼の役どころは?

景勝の宿所は本国寺で、千利休の娘・お涼が世話役として控えていた。お涼を演じるのは木村佳乃さん。清純派の女優だが、『この女、何を企んでいるのだ』と、お涼を演じる木村さんにはちょっと危険なムードを感じた。堂々としすぎているというか、肝が座っているからだ。そして、秀吉への献上品である太刀を物足りないと断じ、秀吉を喜ばせるため、太刀袋を金襴にするよう兼続に助言。ある意味、初音と同じように、『この女はなんなんだ!』というのを感じさせた。むしろ、このキャラクター設定が制作者の狙いなのかな?

⑤三成のあの髪型は?

関白に目通りした事で、景勝は秀吉の家臣となった。景勝はまだ納得いっていないような表情を見せていたが、これは越後との環境の違いに驚いていたのか?それとも?一方、兼続は、『ここから日の本をおさえる。新しい国づくりをはじめる。頼りにしているぞ』という三成の言葉に、『まかせておけ』。兼続と三成のやりとりはこれからより多く描かれるであろう。むしろ、描いてもらわないと困る。それにしても、三成のあの髪型はいつまでだろうか・・・。

⑥お涼に漂う危険

秀吉が太刀袋を気にいった事に、『サムライといえぬ』と憤る景勝。確かにそれは筆者も同じような感想だが、秀吉に献上品を喜んでもらえた武将は皆それで満足しているとの事。そんな中で、『それは違う』と景勝と兼続。そこに、お涼が『上杉は違う』と言い、またもや危険な目・・・。お涼の目的は

⑦上洛って大変!

秀吉に会うだけに留まらず、北政所や重臣たちへの挨拶回りが待っていた。北政所からは『話をしないのも駆け引きのうち。たわいのない挨拶回りかもしれませんが、器量を見極めようとしているのですよ。辛抱第一。うまく合わせていきなされ』と言われていたが、こういったシーンはある意味ポイントだ。というのも、このように上洛してからの詳細な動きを、これまでの大河ではことごとく描かなかったからだ。月並みな感想だが、上洛って大変なんだなぁ~と・・・。これが、北政所だけではなく、重臣への挨拶へと続いていくのだから・・・。実に貴重なシーンであると言える。

⑧直江状が楽しみだ

景勝上洛の報は、徳川家康、北条氏政にももたらされた。北条氏政を演じるのは、伊吹吾郎さん。ドスの効いた演技をする俳優が北条氏政とはもったいないキャスティングのような気がした。それにしても、氏政が本心をあからさまにするのに対して、本音を言わない家康の憎憎しい事。これが、直江状につながっていると思うと、兼続は家康にどんな態度で挑むのか?一方、それに対して家康がどんな風に戦を仕掛けるのか?楽しみだ。

⑨モテ男の兼続

石原良純さん演じる福島正則が登場した。『愛の兜は愛染明王?』という問いに、ほぼ脅されるように、『あいぜんみょうおう・・・』と兼続は答えるが、ここは北政所の忠告通り合わせた格好だ。正則の態度を見かねたお涼が正則を投げ飛ばすが、男でもあんなに投げ飛ばせないぞ!と突っ込みを入れつつ、ただの茶人の娘ではないという事をうかがわせた。そんなお涼の活躍に感心した兼続は、素直にそのことを伝えると、お涼は『あなた様を好きになったようでございます』と一言。ん~、こんな事はありえん!と思いつつ、兼続をここまでモテ男にしてどうしようというのか?と思った。今後のお涼と兼続は?

⑩景勝、倒れる!

挨拶回りは連日続いた。その行為に疑問を持ちつつも景勝は、『第一義』の字を見て必死に耐えるが、キィーンと耳鳴り。そして、ついには倒れてしまう。ここで今週は終わったが、景勝が心配だ。””のプレッシャーと、”義”だけでは全て世の中回らない・・・というストレスが景勝を苦しめた格好だ。

【来週の展望】

来週は、またまた初音が登場するようだ。予告を見る限りでは、兼続の危機を救うかのように登場!お涼との三角関係が勃発か!?そして、千利休も登場!兼続とどうからむか注目だ。真田幸村の『関白殿下の家臣になってくださいませ』という言葉も気になるぞ。さぁ、1週間後のお楽しみだ。