僕は精神疾患患者を精神障害者と扱うことに強固に反対している立場だ。この立場はほとんどいないと思うのだが、最近見たネットニュースでも障害者施設こと就労支援事業所が利用者を解雇する事案が多発したことがあり、メディアは一貫して障害者施設あるいは障害者とだけ、記述していた。

この精神疾患の患者を障害者としてだけ一括に捉えることこそが非人道的な人権侵害であり、患者の約4割が病気の兆候を20代までに見せるというデータはあるものの、ひるがえると残りの6割は社会人になってから精神疾患を患うことになるわけで、それぞれの生い立ちや職歴や学歴は大きく違う。

それを精神障害者という呼称や精神保健福祉法における精神障害者という定義は、疾患の本質に当てはまらないばかりか、患者の個別性や人格権や人権を剥奪するくらい強固な人権侵害であり、メディアの拡散する錯誤的情報であると言えよう。

一つの提案として、精神神経学会が「精神障害は疾患であり、かつ障害である」という公式声明を出しており、これである程度の意味合いは取れると思うが、いちおう完治や寛解があるという説明にはなる。僕はこれに反対し精神疾患を慢性疾患として扱い、障害者ではなく他の診療科と同じ患者として扱うべきだと思う。慢性疾患なのだからそれで何の不都合もない。精神衛生法当時に無理やり科学的根拠も無しに精神障害者として扱い、今も精神障害者として無知無能というレッテルが貼り付けられる。

やっぱりその人の個性や経歴、学歴や職歴といった一般社会で

の属性を剥奪するような真似はやめて欲しいし、国連がどうしても障害者権利条約に「精神障害」を含めるのなら、余計「私たちのことは私たちで決めさせて」のスローガンどおりに、精神障害を障害者全般から除き、社会的な属性を持った社会人あるいは元社会人として捉え、それに見合う権利を与えるのが一つの筋だと思える。

他の障害に関しては、やはり三障害という定義が明らかに精神障害に著しい抑圧を与えるものになっている現状を見ると、それを廃止するとともに、どうしても障害者とするなら、それぞれの障害に見合った福祉を行うべきで、無知無能のレッテルを貼る三障害は止めて欲しい。この意見は差別意識からくるものではなく、三障害によって人生で失ったものが大きすぎる。

ひとまず精神疾患の患者を精神障害者にする二重的な扱いが法制度上も社会通念上も甚だしい人権侵害と人格否定を招いていることをここに主張しておきたい。