The-Footprints

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モノとコト

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眠れないので記事を書こうと思う。

 私は『出来るようになる感覚』が好きだった。

何も神童だったとかそういう自慢話ではなくて、私の場合はかなりミクロな話である。

指パッチンとかペン回しとか、そういうどうでもいい部分に無意識に注力してしまう子供だった。

勿論、これらを極めた訳ではないし、そうするつもりも毛頭なかった。重要だったのは、つい最近まで出来なかったことが出来るようになる瞬間、またそれを継続することで自分の習慣に馴染ませる感覚。


 ペン回しは案外大変だった。確か中学生のころ、祖父がかかりつけの医者からペン回しを教わってきた。私はその頃学業に無頓着だったので、授業中の暇潰しにペン回しは最適だった。

"ソニック"とか"ハーフガンマン"と呼ばれるらしいテクニックは案外あっさりマスターしたが、一番ポピュラーなペン回し(名前はわからないが、親指の回りを一周させる技)が全く出来なかった。思い返せば、私はかなりの頻度でペンを落としてクラスの皆から顰蹙をかっていたと思う。

 実は、最近になってその名前のわからない技をマスターした。これに約五年の歳月をかけた。ほんの少しの感動を覚えたが、「私は一体何をしてるんだ」という感情が圧倒的に大きかった。昔ならもっと素直に喜べたのかな、などと思って少し寂しくなった。

 私は今、マージナルマンにカテゴライズされる領域を通過しようとしている。大学生活も折り返しを迎え、いよいよ社会がその大口を開けて私を飲み込む日も近づいてきた。私が飛び込む社会に『出来るようになる感覚』、あるいはそれを凌駕する快感を得られる何かは存在しているだろうか。


それとも、"社会に順応すること"自体が『出来るようになる感覚』をもたらしてくれるだろうか。

 
 気づけば空が白んできた。将来のことを考えると眠れなくなるのは分かっていたのに、またやってしまった。

 部屋を掃除して寝ることにする。