劇場版フォーゼ(以下、みんキタ)の感想を長々しく並べてみる。問題は既に方々で言われているだろうけど、個人的整理ということでご容赦を><
言いたいこと言い倒しております故、かなり詳細にネタバレ(してるつもり)なので、未見の方はロケットモジュール噴かして全力回避されることをおすすめします。
また、くどくどと苦言を発している箇所も多々ありまして、「そういうのは見苦しくて好かん」「ムカツク!」という方も急いでコズミックステイツでワープドライブしてくださいませ。










































<物語の振り返り>

さて、まずは物語を順を追って思い出して見る。
しかし初日に見てから既に1週間以上…そこここでシーンのつなぎが曖昧なのでご容赦ください><

最初は財団Xにホロスコープススイッチ12個を手渡す理事長と忠獅子&校長のシーン。
乱入したインガとブラックナイトがスイッチを奪います。
財団Xを退けインガの体術の凄さを示す一方、リブラとレオに追い込まれたインガを救い両ホロスコープスともいい勝負のブラックナイトのナイトっぷりが光るシーンです(特にお姫様抱っこ)。
この時点でインガVS財団Xの対人格闘、レオ・リブラVSブラックナイト+インガマシンガン使用のバトルとアクションてんこ盛り。個人的にはアクションが冗長に感じたシーンでした(理由は後ほど…)。
インガたちを追い詰めようとするリブラらを制する理事長は、インガたちの正体を知っていたのか否か…。

タイトル後はアンガールズ山根氏の客演シーン。
山根氏こと小松先生の授業を受ける弦太朗たちが、相方の田中氏こと大杉先生に呼び出されるくだりです。
やはり登場した山根氏と田中氏のシーンは、後の(あからさまに伏線シーンの)アボカド×プリン+醤油なウニトロ丼で昼食のシーン含め、ちょっとそこだけ浮いた感じもしつつ、アクションだらけの本作の良いブレイクタイムになっていたと思います。

続いてラビットハッチ。
大杉先生が招き入れたOSTOレガシーの白山静からの協力依頼を快諾するライダー部一同。
静嬢というかジャスミンは、Wでの登場時も思い出して裏切りの気配が無いかと心配していたら、ドジっ子ぶりと以降のシーンでのインガとの対立姿勢に、味方でいいのかな?と思っていたのですが…^^;
個人的にはここで、秘密のラビットハッチに侵入していた静を疑って弦ちゃんらに諌められる流星を見たかったかな、と(後述その2です;)

次いで、詳細な事情を聞くべくOSTOレガシーの施設へバスで向かうライダー部と静を、ブラックナイトとインガが強襲。
弦太朗がフォーゼに変身しブラックナイトと、追いすがり乗り込んできたインガとは流星が、またも長尺のハードアクションに突入していく。
ようやく登場したフォーゼのVSブラックナイト戦は、もう既にスイッチフル活用バトルが始まってる感じで熱い。
ただ、後のホロスコープス戦もそうだけど、ちょっと目まぐるし過ぎる><
インガ嬢は今度は護衛車と激しいカーチェイスアクション(監督入魂らしい)。
乗り込んできてからは流星と対決で、ライダー部非戦闘メンバーを巻き込んでの車内格闘戦と、この辺りまではほとんどインガ嬢がアクションの主役なのですよね…^^;
のちの展開を思えば、それはそれで一つの選択肢とも思いますが、正直「ライダーはどうした!」と言いたくなったのは確かで…(伏線)。
伏線と言えば、インガ嬢が流星にワンインチパンチ(fromブルー・スリーじゃなくてブルース・リー、コズミック回前編で弦ちゃんを一度落命させたアレ)を放って流星を車外へ弾き飛ばしています(何故生きてる…まぁ気付いたので急所を外したんでしょうけど><)。

この後の繋ぎを忘れてて、「なんとかブラックナイトを退け駆けつけたフォーゼに、仕方なく撤退するインガ(と再起動したブラックナイト)」だったような気がするのですが、それはさておき。

次はOSTOレガシーの施設にて。
静と、ローラースケートで登場の変な兄ちゃん・冴葉晴海によるミッションの説明。
アリシア連邦の宇宙鉄人キョーダインが目論む、人工衛星ⅩⅤⅡによる破壊工作の阻止-ⅩⅤⅡの破壊によるミッションの遂行に、「機械とも友達になれる」と弦ちゃんは異を唱えます。
否定的な冴葉も含め、この時点でニュアンス的に「機械=ⅩⅤⅡ」であり、暗にキョーダインは除外されてしまっていることは、一つのポイントかと。
今回弦ちゃんがダチになるのはⅩⅤⅡであり、敵として倒すべくはキョーダインであることが、既に暗示されているわけです。
この「ダチになる/敵として倒す」の明解な区別は、TV本編の「ゾディアーツスイッチャー/ラストワン後のゾディアーツ・ホロスコープス」の区別に通じ、非常に興味深いです(手前味噌な参照:http://ameblo.jp/the-final-r-cr3/entry-11319560201.html)。

あと、確かここでは、賢吾らによる弦ちゃんの肯定があったと思いますが、その手前で流星が反目していたかどうかはちょっと記憶が曖昧…><

さて、シーンは宇宙ミッションへ向かうための特訓シーンへ。
目立つのは賢吾くん…病弱設定どうした!?身体大丈夫か!?それともここで鍛えられて強くなるのか!?><
しかし、続く夜空のシーン含め、パンフのライダー部キャスト座談会にもあったような「合宿」感が、個人的にはとても心地良く。
自分と同じ流派の予感をインガに覚える流星に、機械=ⅩⅤⅡと友達になる思いを強くする弦太朗。
物語の主軸が、この2点に集約されていくことを予感させます。

そして、遂にミッションスタートへ。
ライダー部を宇宙へ導くのは、一同驚愕のエクソダス・マークⅡ-かつて財団Xのレム・カンナギ=超銀河王が用いた大気圏脱出用の機体の同型機でした。
ここでMOVIE大戦MEGAMAXと地続きの世界であることが明示されます。
(最終話に至っていない現在、みんキタがTV本編と整合性ある話なのかどうかは判然としません。ただ、後のスイッチのシーンでエリーヌは出てるけど生徒会メンバーが出ていないことから、38話と39話の間のエピソードであることが推測できますが、どうなんでしょうね…?)

立ちはだかるインガはホロスコープススイッチを使用-12体のホロスコープスが、勢揃いでライダー部の行く手を塞ぎます。
ここで眼前のホロスコープスが単なるエネルギー体であることが賢吾から説明され、冒頭のホロスコープススイッチがコピーであることが判明します。
コピーとはいえ12使徒、ゾディアーツ最大の脅威を前に、非戦闘メンバーと静をエクソダスへ向かわせ、弦太朗と流星はダブル変身-戦いは、オールホロスコープスVSオールスイッチの大バトルへ。
様々なスイッチとステイツを上手く使ったなぁ(特に印象的なのはパラシュートやメディカル…あとファイヤーの爆熱シュートは外道過ぎる><哀れアリエス)と時に感心しつつも、やはりめまぐるしく何がなにやら><

と、いつのまにやら8体のゾディアーツを撃破するも、サジタリウス・レオを筆頭としたホロスコープス中心メンバーはやはり強力。
しかしここで、新たなる戦士が登場-近年の夏ライダー映画恒例・新ライダー・ウィザードのお目見えです。
響鬼を思わせる面持ちとキバを思わせる装飾と彩色に、翻るマントとゴツいリングが目立つ新ライダーがフォーゼとメテオを送り出すと、銃と剣に変形する武器・リング×ベルトで放つ魔法で、ホロスコープスを翻弄していきます。
飄々とした変身者の態度、またライダーの名に自覚がなく、むしろフォーゼとのやり取りでライダーを自認するというのが、ウィザードという作品の方向性を予感させてgood。
分身魔法からのライダーキック×4でのサジタリウス他の撃破は、ちょっとやりすぎと思いつつも、TV以前にフォーゼたちに撃破させるのも微妙だろうし…と複雑な心境><

何とか大気圏を脱したエクソダスⅡ内部のライダー部一同+静。
ⅩⅤⅡの自動防衛システムの突破とⅩⅤⅡ侵入が次のミッションなるも、侵入していたインガに静が腕を撃たれます。
何とかインガを制しつつ、一同はⅩⅤⅡ内部に強行突入。
弦ちゃん&ユウキ、賢吾&静、流星&友子、美羽&隼&JKの4班に分かれ、時限爆弾による4箇所のⅩⅤⅡの自動防衛システム中枢の破壊へ向かう一同。
…うーんこの辺はちょっと息子が騒いでてあまり記憶ががが><
内部の防衛システム・ガンベースと隼のパワーダイザーの第1戦もあったような…?

さて、せり出した床にこけたユウキ、彼女が巻き込まれそうになったレーザービームのトラップに、弦太朗は「やはり機械とダチになるのは無理なのか」と弱気に。
一方で、賢吾に腕の傷を案じられた静は不穏な表情…やっぱりなのか?><
そしてシステム中枢の一つに迫る流星と友子の前には、インガが立ち塞がる。
流派東方不敗がぁ~と言いたくなるような型の披露で、互いを星心大輪拳の同胞と認めるインガと流星。
なおも迫るインガに何故を問いながらも、制しつつ流星はシステム破壊を友子に託す…時限爆弾の爆発まで時間がない!
何とか設置し、爆発から脱出する流星と友子、そして他のメンバーも破壊に成功。
改めて何故を問う流星に、インガは父親の死の間際を思い浮かべて…。

その頃、最後のミッション・ⅩⅤⅡ制御中枢の奪還に向かう弦太朗らと静。
制御中枢(ブレインのオマージュであることは明白)から迫る球体のついた触手のようなものを「最後のトラップ」として撃つ静。
彼女により制御中枢の奪還作業が始まる…が、そこへ待ったをかける流星・友子と、インガ。
そして現れる冴葉…人間の姿に擬態していた、彼らこそが宇宙鉄人キョーダインだったのだ。
ライダー部が破壊したのは防衛システム中枢ではなく、キョーダインの活動抑制装置…「エンダー・スカイダイン」「エンダー・グランダイン」の掛け声とともに、スカイダインとグランダインの兄妹に変形する静と冴葉。
システム中枢の書き換えが終わり、彼らの手に落ちたⅩⅤⅡが地球に、重力子砲グラビトンの砲口を向ける。
ⅩⅤⅡはトラップからユウキを守ってくれていたのだ…そのことに気付いた弦太朗は、ⅩⅤⅡの意識を奪い、インガを助けに現れたブラックナイトをも破壊したキョーダインに、怒りを爆発させる。
フォーゼに変身しての「頭にキターッ!」に篭るのは、ダチを信じられなかった己の不甲斐なさか。
流星は、父の死後孤独に戦ってきたインガを理解し、友達と認めた彼女に仲間達を預け、自らもメテオに変身。
ライダー部一同とインガはⅩⅤⅡからの脱出を図る。
インガとの絆を結ぶ流星の姿は、彼なりの弦ちゃんからの影響が垣間見れて、メテオストーム回やコズミック回を思うと非常に熱い。
しかし、人間を理解せず非道を是とするキョーダイン兄妹は、合体技も駆使してフォーゼとメテオを圧倒。
弦太朗と流星はダメージを負いながら、下位階層に叩き落されてしまう…。
※この辺、またしても順番が前後してる箇所があるかと思われます><

弱威力のグラビトンで人類に宣戦布告するキョーダイン。
脱出に向かう賢吾たちの前には大量のダスタードとガンベースが。
絶大な危機に炸裂する、ライダー部メンバーの素面アクション!
かわいらしく協力アクションのユウキと友子、完全に病弱を克服したかに見える賢吾の大技が炸裂すれば、JKはブレイクダンスを絡めつつどこかのドンさんのようなおちゃらけバトルを展開、ガンアクションを凛々しくクイーン美羽会長がキメて魅せる。
隼は一人パワーダイザーでガンベースの群れに向かい死亡フラグを立てるも、美羽とJKの軍事用パワーダイザーで楽々フラグ破壊。
勿論アクションを忘れないインガに心強さを与えながら、一同は何とか脱出の目処をつける。

一方、弦太朗と流星は、静に打たれて本体から切り離されたⅩⅤⅡ制御中枢の端末に命を救われていた。
無力を噛み締める流星に、弦太朗は涙を流しながらⅩⅤⅡに詫びる…ダチを信じられなかったことを。
オトシマエをつけるべく、今一度キョーダインに挑もうとする弦太朗の無茶を、流星が制する。
それでもダチのために、命がけで向かう弦太朗は、フォーゼコズミックステイツで大規模ワープドライブを敢行…。
このくだりは弦太朗の演技がひたすら熱く、「キョーダインどうすんだ><」という内なる声に脅かされていた私にもクルものがありました…。
本作1点目の泣きポイントでしょう。
…余談ですが、最強フォームでのワープドライブは、同じ宇宙を決戦の舞台にした劇場版カブトGSLへのオマージュを感じなくもなかったり^^

地球砲撃目前のⅩⅤⅡは、脱出直前のエクソダスⅡもろとも、月面へワープドライブ(その様を報道中の、タイアップ?のアナウンサーさんが白々しい…><;)。
脱出した賢吾たちは、ラビットハッチへ向かいます。
しかし、全スイッチのコズミックエナジーを使い切ったフォーゼは変身解除、スイッチはラビットハッチへ戻ってしまいます。
弦太朗たちに迫る、怒りのキョーダイン兄妹。
「もう2度とお前を死なせやしない」決意の流星は、メテオに変身して抵抗を試みます。
弦ちゃんへの熱い友情から変身するここの流星は個人的に燃えポイントが高く、是非ともここでEvoluvin' Storm(メテオストーム用ED)が聞きたかったところ^^
しかし、生身&戦力不足の弦太朗と流星は、キョーダイン兄妹にいいように嬲られてしまいます。

どうすることも出来ない極大のピンチに、嘆き叫ぶことしか出来ない賢吾…人間嫌いだった彼の弦ちゃんへの思いは、彼の成長を思わせます。
その時、ⅩⅤⅡの端末から通信が-そこに現れたのは、新たなスイッチの設計図。
しかし、このスイッチの発動には、フォーゼを、弦太朗を想う人々に、40個のスイッチを押してもらわなければならない…。
学園に戻り、あるいは卒業後の生徒らをあたり、奔走するライダー部のメンバー達。
その間も、嗜虐を楽しむキョーダイン兄妹に弄られ続ける弦太朗と流星がオーバーラップし、ライダー部メンバーの必死さを煽ります。
…このシーン、方々で冗長と言われ、確かにそうとも思いますが、この煽りがあったおかげで、個人的にはそこまで気にならなかった点ではあります^^;
キョーダイン兄妹のキチ度を増す演出効果もあったと思いますし。
そして、「弦ちゃん友達少ないw」の件も、そもそも2話完結スタイルでスイッチャー一人ずつとダチになるフォーゼでは、どう頑張っても24,5人+α程度しかダチは作れない計算なので、しゃあないかなと><;
ただ、スイッチオンのシーンはどうにか見せ方があっただろうとは思いますが…せっかく映画の大画面なんだから、バストアップで40人1画面同時スイッチオンとかさw
とはいえ、ここが本作2点目の泣きポイントであることに変わりはありません。
個人的な押しは、一杯いっぱいで涙ぐむユウキを抱き寄せるハリケン青先生でした^^;
もちろん、理事長もスイッチ押してるのはポイントでしょう。

そんなこんなで完成した、フュージョンスイッチ。
届けられたその力一つで、弦太朗は迷わず変身。
スイッチオンと同時にメテオは変身を強制解除され、メテオスイッチが宙を舞いフォーゼドライバーにセット、空いた2箇所のソケットにはクリアのスイッチが生まれ、フォーゼはメテオフュージョンステイツ(以下フォーゼMFS)に変身を遂げます。
このシーン、メテオ強制解除はナシで、と言うのは同意^^;
できたら、せっかくなんで、流星に手渡して欲しかった…。

さて、ラストスパートです。
フォーゼMFSは流星譲りのカンフーアクションと弦ちゃん由来のケンカアクションの融合でキョーダイン兄妹を圧倒、ⅩⅤⅡの機体外へ引っ張り出すと、月面バトルを挑みます(ああ、月の兎ことサイボーグS-1さんに出てきて欲しかった!)
キョーダインは変形合体して対抗、マシンマッシグラーを駆るフォーゼMFSと月面宙空を問わないチェイスアクションバトルを展開。
スカイダインの機首顎可動とミサイル攻撃にニマニマ^^(ぶっちゃけ原作未見だけどなんとなくさ!><)
最後にはライダーフュージョンドリルキックで、兄妹を完膚なきまでに爆殺…ええ、爆殺でした…。
まぁ、ここは後に譲りましょう><

戦い終わってエンドロール。
父の無念を晴らし、解放されたインガを見送る流星。
心通わせたインガから別れのキスを貰って硬直する流星に、木陰からジェラシーオーラを燃やす友子は、もはや定型ネタか?^^;
母校のシンケン姫を交えた、流星争奪・異種格闘最強ヒロイン決定戦なOV版仮面ライダーメテオを心待ちにしております^^
そして宇宙を目指すⅩⅤⅡを見送る弦太朗たち。
巨大な機械のⅩⅤⅡ(ここまで触れてなかったけど勿論、大鉄人17です!灰色1色だけど><)とも、ダチの仕草を交わすフォーゼは、なかなかいいもの(byエスケイプさん)であります…(きょーだいさんたちは…><)
そして〆には、画面の向こうのキミたちに、「次はお前らとダチになるぜ!」…とても弦ちゃんらしい、フォーゼだからこそ出来る、フォーゼにしか出来ない朗らかさでもって、映画本編は幕を閉じましたとさ。

…なお、忘れちゃいけない冬映画予告。
本編ではシナリオの都合か触れられなかったフォーゼとウィザードのダチの仕草のやり取り…コレは外せません。
ウィザードのノリはWとディケイドくらい違ってそうなので、逆にどんな化学反応が生まれるか、今から楽しみです^^
勿論、秋のギャバンもね!



<検討・問題点とMEGAMAXとの対比>

…だいぶただの感想をぶちまけましたが、ここからはちょっと色々考えて見たい。


やっぱりひっかかりどころは、キョーダインの扱いだと思います。
ただ、コレも方々で言われてるだろうけど、「キョーダインの扱い」と言う話は、「過去ヒーローであるキョーダインを悪役として扱うことの是非」と「悪役(のキョーダイン)を悪として撃破してしまうことの是非」との2点に分けて考えねばならないと、私も思っています。

「過去ヒーローであるキョーダインを悪役として扱うことの是非」については、もちろん「兄弟を兄妹にして名前も変えて年齢差もひっくり返してる」「結構悪役ヅラ」「原作再現ネタはかなり盛り込んである」とのフォローは可能です。
しかし、前二者のリマジ要素と後者の原作再現フォローについては、後者は掛け声や演出などの表面的なところであって、むしろリマジ要素および悪役化の鼻につきやすさに、火に油を注いでいないかと心配しています。
私は原作未見ですが、私が見た少ない事例の中では、リアルタイム視聴の年長者の方が、大人の割り切りを見せて好意的評価を向けるパターンと、ソフト化や配信での視聴者層の方が、原作品とのあまりの差異と完全な悪役扱いに憤られているパターンと、双方がありました。
原作の人物像や物語に関しても、もう少し配慮があってもよかったのではないか、とは思う次第です。

「悪役(のキョーダイン)を悪として撃破してしまうことの是非」については、前述して少し触れましたが、これはTV本編の「ゾディアーツスイッチャー/ラストワン後のゾディアーツ・ホロスコープス」の扱いの差にも関わる問題で、フォーゼ全体の問題であると思います。
要するに、「どこまでを撃破してよい悪とし、どこまでを救い友達となる相手とするか」という点が明示されておらず、一貫した要素が(わかりやすく)暗示されることすらされていないため、人によっては、弦ちゃんの恣意に拠って生殺与奪・友人の可否が左右されている感が大きくなってしまう、ということです。
(余談ですが、こうした印象はウルトラマンコスモスにも通じるところがあると思いますので、より詳しい方の分析を待ちたいと思います。)
しかしこの点は、みんキタがフォーゼのメインスタッフ(特に坂本監督・中島脚本)で作られている以上、拭いがたく孕まざるを得ないところだったともいえ、「これが良くも悪くもフォーゼらしさだ」という開き直りも可能に思え、なんとも言えない感じです><
残るTV本編2話の語る内容にも関わるでしょうから、今は「これはヒーローモノにおいては非常にバランスの難しい問題なんだよなぁ…(ウルトラの地平を見つつ)」というところまでの言及に控えておこうかと思います(←なんじゃそりゃ><)


さて、ようやく表題に掲げたMEGAMAXについて触れたいと思います。
名作との評価が高いMOVIE大戦MEGAMAXですが、メインスタッフ(特に坂本監督・中島脚本)は同一です。
にもかかわらず、みんキタはなぜこのように賛否の否も多く散見される作品になってしまったのでしょうか。

先の「客演ヒーローの扱い」について言えば、MEGAMAXの7人ライダー&Wは完全に味方としての参戦であり、故に「原作再現ネタはかなり盛り込んである」点が功を奏し、名作との評価を高めたのでしょう。
また、「悪役を悪として撃破してしまうことの是非」については、W本編&映画から続けて悪役扱いされてきた、「年季の入った悪」であるところの財団Xとそこを基盤とするレム・カンナギ=超銀河王がメイン敵である点が、悪役の「悪役らしさ」を強く補強している点は指摘できるかと思います。


ここでもう一点、両者の作品構造について、私見ですが、触れてみたいと思います。

MEGAMAX・フォーゼ編の主題は、言ってしまえば「撫子=SOLUをどう扱うか」に尽きると思います。
これは、TV本編のフォーゼが主題(の一つ)とする「ゾディアーツおよびスイッチャーをどう扱うか」とは一線を画す主題です。
なにしろ、撫子は「仮面ライダー」なでしこなのですから。
劇中の扱いも、恋をした当の弦ちゃんに「スライム」と言われながらも、一貫して「敵」「悪」としては扱われません。
MEGAMAX・フォーゼ編の物語は、「撫子=SOLUとダチになるか」と言う点に、「弦ちゃんの恋」というひねりを加えながら、それ故に出せる「ダチになる」という答えを、鮮やかに一本の筋をつけて導き出しているように、私には思えています。
これらは、弦ちゃんが撫子とライダー部のメンバーの関わりの中で悩み、見つけ出した答えです(否定的な賢吾らと、支えるユウキらのポジションが美味いと思います)。
物語の中で敵となる財団Xも、フォーゼ編のラスボスであるサドンダスも、MEGAMAX編のラスボスである超銀河王も、彼らの障害とはなりますが、その主題と答えには、なんら関わりません。
そして、だからこそ、ライダー部メンバーの身体を張ったアクションも映えます。
これらは全て、ダチである弦ちゃん(がダチである撫子のために流した涙)のために向けられた、無力な彼ら彼女らなりの友情の戦いだからです(ハンカチを差し出すことしかできないけど、それでもきてくれたJKの素晴らしさといったら!)。

では、みんキタはどうでしょうか。
みんキタの主題は、特訓と夜空のくだりで少し触れたように、「機械=ⅩⅤⅡをどう扱うか」と「インガをどう扱うか」の2点に分裂してしまっているように、私には思えます。

「インガをどう扱うか」については、関わるのが流星ということもあり、「機械=ⅩⅤⅡをどう扱うか」よりも一歩引いたところにあるようにも思えます。
しかしそれでいて、中盤までの物語において大きな尺を割かれて描かれているのは、インガのアクションです(流星との対決も含む)。
これは、見る人にインガの重要度を必要以上に見せ付ける効果を生んでいるのではないかと、個人的には感じます。
(坂本監督の(美女)アクションへの拘りが上手くいかなかった箇所だと思います。)

「機械=ⅩⅤⅡをどう扱うか」については、撫子=SOLUの時に成立していたイコールが、同じく機械であるキョーダインが存在していることによって分裂してしまっているために、この主題自体が「機械をどう扱うか」という形に捉えられてしまうのではないかと思っています。
つまり、この「機械をどう扱うか」という主題は、「ⅩⅤⅡをどう扱うか」に加えて、暗に「キョーダインをどう扱うか」という裏の主題を抱えてしまっている形になっている、ということです。
(キョーダインが「過去ヒーローの客演」であることも、そうしたイメージを強化しているといえるでしょう。)
そして、裏の主題が暗示に留まっている(弦ちゃんとしては機械=ⅩⅤⅡという認識から抜け出ない)ことで、「キョーダインをどう扱うか」は、彼らが「敵」役・「悪」役である以上、「撃破する」という答えにしかならない。
そうすると、「ⅩⅤⅡをどう扱うか」が「ダチになる」という答えだと、「機械をどう扱うか」という主題に対して、表と裏の答えが一つになれず矛盾してしまうわけです。
…ややこしいので端的に整理しちゃいますと、「やっぱり「機械とダチになる」って言ってんのに、ダチになるのはⅩⅤⅡだけで、キョーダインと仲間にならないのは、筋が通らないよ><」ということになります(←それでいいのかよ><
んでなおかつ、この主題は「インガをどう扱うか」とはほとんど無関係なわけです。
唯一インガと機械たちを繋げられそうなブラックナイトは、弦ちゃんらとさしたる関係も結べずに撃破されてしまうわけですし。

ライダー部の戦いも、冴葉&静=キョーダイン兄妹に騙されての特訓と破壊工作、アクションは撤退戦、スイッチ作成は弦ちゃん救出×キョーダイン撃破のためで、ⅩⅤⅡやインガの主題とのかかわりは(MEGAMAXの時に比べても)だいぶ薄いです。
弦ちゃんのように、ⅩⅤⅡの破壊工作に組みしたことを詫びるわけでもないですしね。
スイッチ作成前のコズミック単独での大規模ワープドライブの段階で、流星がインガを認め、弦ちゃんがXⅤⅡに対するオトシマエを着けて、その辺りの話を一度落ち着けちゃってる点も、スイッチ作成からのフォーゼMFSでの戦いを、「頭にキタ」非道を働いたキョーダイン兄妹を潰すためだけの戦いにしてしまっていて、ライダー部一同を撫子の時のようにⅩⅤⅡの話に絡ませられなかった要因になっているかと思います(非常に微妙な構成の差異だとは思うのですが…)。

こうした各点において、強い一本の柱を持っていたMEGAMAXと、柱が分裂して細くなってしまいどれが大事なのかわからなくなってしまいそうなみんキタとでは、構成において大きな差があると思います。



<まとめ>

個人的には、話のわかりやすさというのは、一本筋が通っているかどうかに左右されるもので、明解に敵と味方が分かれていることは必ずしも重要ではない、と思います。
この点については、同時上映だったゴーバスターズ劇場版が、詳細な説明をTV本編に頼っている(=未見の人に優しくない)という欠点を持ちながらも、サブタイトルにもあるような「特命:東京エネタワーを守るため、エンターとスチームロイドおよびメガゾード軍団を撃破せよ」というヒロムら主人公たちの目的を主軸として一貫していることで、みんキタ同様アクションてんこ盛りながら、短い尺の中で(むしろ短いからこそ)目を引きつけさせる作品に仕上がっていたことにも通ずると、個人的には思います。
その点、みんキタは「敵と思っていたのが味方で、味方と思っていたのが敵」という物語の流れを取っていて、故に弦ちゃんら主人公たちの目的が一貫しない構成のため、それとは別に、物語の主題を主軸として一貫する必要があると思い、このような(長ったらしい)検証を展開した次第です。


一方で、補足として、「TV本編のフォーゼを重ね見てしまうこと」についても触れておきたいと思います。
先に触れた「悪役を悪として撃破してしまうことの是非」の問題については、それが問題となること自体、「(悪役である)ゾディアーツ(のスイッチャー)ともダチになる」ことを志向するTV本編のフォーゼの主題があればこそのものです(この問題がTV本編とオーバーラップしていることも前述のとおりです)。
もちろん、映画単体の作品・演出の構造として問題がある(と思われる)ことについては、ここまで検証してきたとおりですが、映画のこのような点を問題としている人とあまり気にしていない人では、TV版に対しても同様な傾向が見受けられるような印象を、個人的には持っています。
これを、単に「枝葉の気になる人と気にならない人の個人差」に帰して混ぜっ返すのもアリかと思いますが、ここではあえて、こちら(http://ameblo.jp/the-final-r-cr3/entry-11319560201.html)で検証したような、TV本編のフォーゼの、迷走とも言える「(悪役である)ゾディアーツ(のスイッチャー)ともダチになる」ことの変遷の影響を持ち出して、お茶を濁したいと思います><;

キョーダイン問題もそうですが、やはり「元々の作品・キャラクターのイメージ・印象」の問題は大きいと思うのです。
個人的には、スーパーヒーロー大戦が、「敵を騙すにはまず味方から」でみんキタのような物語の流れのねじれを持ちながら「様々なヒーロー同士の絆」という主題で(最終的には)一貫していたにもかかわらず、「みんな(視聴者の)味方」というイメージの強いヒーロー同士の殺し合いや、近作ゆえイメージの強い(薄れていない)ゴーカイジャーやディケイドの面々の(状況的には致し方ないとも言える)変貌が、「キャラの改悪だ」「彼らはこんなことしない」と非難されたのを、思い出さざるをえません。
(yahoo映画のレビューでは、スーパーヒーロー大戦が酷評の嵐なのに対して、みんキタは絶賛の声が大きい状態です…なんででしょうね^^;)

ともあれ、通り一遍ですが、「各キャラクターを(ファンの思い入れも込みで)大事にしながら、一本筋の通った作品にしてほしかったな」ということで、締めさせていただきたいと思います。






<おまけ:妄想改変みんキタを考える>

さて、文句ばかり言ってもなんなので、「じゃあどうしたらよかったのか」を、なるべく公開版を大事にしつつ、妄想込みで考えてみたいと思います。
…もしかしたらカットシーンにあるかも?といった余計で分不相応なな期待もしつつ…><;

ポイントはⅩⅤⅡの主題とインガの主題の融合です(もちろんこれにキョーダインの扱いも絡まります)。

そして改変ポイントは2点、ゲストキャラ4体+1人の関係性と、弦ちゃんに対する流星の立ち位置です。

ⅩⅤⅡ・キョーダイン兄妹・ブラックナイト・インガについて、作中での彼らの関係性は、前4者はインガの父・ブリンク博士の作った宇宙鉄人であり、今は前3者と後2者は敵対関係になり、インガにとってキョーダイン兄妹は父の仇です。
ここで、彼らの過去がほとんど描かれていない点を使い、
「ⅩⅤⅡ・キョーダイン兄妹・ブラックナイト・インガはかつて友達だった」
と改変してみます。
(…実際には4体の宇宙鉄人とインガは、ブリンク博士を「父」に持つ「兄妹」と言えるのですが、ここはあえて、フォーゼの主題である「ダチ」に沿う形で改変を考えてみたいと思います。)

例えば、キョーダイン兄弟の頭部デザインも、元々は原作に似た丸いタレ目のデザインだったのが、ブリンク博士殺害の一件に至るまでに(例えば、落雷事故によるショックでシステムが異常を来たしたとか何とかで…ってどこの人造人間だ><)、公開版の凶悪フェイスになった、とか。
同性(?)のインガと静=スカイダインは元々親友だった、とか(百合言うな←言ってねぇ)。
ブラックナイトも元々喋れたのが、事故により喋れなくなったとか。
ⅩⅤⅡも元々原作カラーだったのが、事故によりフェイズシフトダウン(違)したとか。
…えーと^^;

ともかく、この変更により、ゲストメンバーを互いに関係させられるようになり、バラけていた主題を近づけることができるでしょう。
何より、弦ちゃん=フォーゼがキョーダインを倒すことに、「(ダチになれた)ⅩⅤⅡのかつてのダチの暴走を止める」という、(あえてイヤな言い方をすれば)大義名分を与えることができます。
大規模ワープドライブの前に、ⅩⅤⅡから弦ちゃんに「キョーダインの制止」を頼めば流れはできると思います。
(助けられないので倒してでも止めてほしいⅩⅤⅡを、ダチなら助けようと制してまずは止めるべくワープドライブを敢行する弦ちゃん、しかしキョーダインは公開版同様に端末を破壊・弦ちゃん怒り爆発…と言う流れだと、倒すしかない相手としてのキョーダインの凶悪さがより引き立つかと。)
インガとブラックナイトの戦いも同様に、「かつての友達の暴走を止める(倒してでも)」ということになり、フォーゼMFSの最終決戦に、ゲストメンバーとライダー部も含むレギュラーメンバーとの総意を集約できるようになります。
序盤のバスからのインガと静の対立も、ただの敵対相手から、既知の相手→旧友との対決という意味合いに変わり、ブラックナイトの破壊も、ⅩⅤⅡ端末破壊と同様に、倒すしかない相手としてのキョーダインの印象を後押しするかと。
「機械」とダチになりたい弦ちゃんに、「機械」の友達に裏切られ父を失ったインガが反発する、というようなシーンもあれば、インガと弦ちゃんの関係性も生まれます(空港戦あたりかな?)。

一方で、流星はもう少し弦ちゃんから距離をとってもいいように思います。
機械とダチになりたい弦ちゃんと、それは無理だと突っぱねるが当初は敵であったインガとは心を通わせてしまう流星…と言う対比構図を、もう少し目立たせてもいいように思うのです。
それにより、インガと心通わせた流星が、機械とダチになろうとする弦ちゃんを後押しすることで、弦ちゃん&ⅩⅤⅡとの主題と流星&インガの主題とが結びつく、といった流れが生まれるのではないかと。
具体的にはⅩⅤⅡ端末破壊のシーン、怒るも力尽きる弦ちゃんと、想いを請けたインガのために、一人変身しキョーダイン打倒のため戦う流星…はい、そういうのを私が見たいだけです><
流星については本当に、個人的なほんのちょっとのニュアンス・描写の違いだけかなと思うので、ゲストの過去に関する俺設定とは関係なく、DC版などでそういう感じになっていたら嬉しいです^^

さて、問題はこのあたりの尺をどう捻出するかですが、やっぱりスイッチ40個のところの短縮と、監督には悪いですが、序盤のインガのアクションシーンを削ってもらえればいいかなと><
具体的には、アバンタイトルというには長過ぎる財団X&レオ・リブラVSインガwithブラックナイトの尺をアバンタイトルらしく削り込み(監督失礼します)、主人公である弦ちゃんの登場に素早く繋ぎ、次いで、OSTOレガシーへ向かう途上でのインガのカーチェイスアクションも(すみませんが)削減。
この2点だけでも十分にちょこちょこ追加するための尺の余裕ができると思います。
(ぶっちゃけですね、主人公はインガじゃなくて弦ちゃんでありフォーゼなんだから、弦ちゃんとフォーゼの活躍をこそ早くじっくり見せて欲しかったのです…いくらハニー(違)が美女でアクション映画らしい素敵アクションであっても、これはフォーゼの映画なんだから、見たいのはフォーゼとメテオの着ぐるみアクションだったんだ、というのは、最後に声を大にして言っときたいです><)


えーなんか締まりが悪いですが、これ以上は妄想が過ぎるしスタッフに失礼と思いますので(今更かい!(-。-;)、暴言はここまでとして、残る最終2話と冬のMOVIE大戦を、心から楽しみに待ちたいと思います^^
…これでもフォーゼと弦ちゃんは好きなんですよ、ホントに!