気分(機嫌)が悪ければ、寛大になれる?
子供の頃を思い出してみよう。
親に、言いづらいことを報告しなければいけないとき、例えば、父親の大切にしていた骨董品を壊してしまったとき、あなたは次のどちらのタイミングを選んで報告するだろうか?
1.贔屓のプロ野球チームが快勝して、父の機嫌がよいとき
2.贔屓のプロ野球チームが、ある選手のミスが原因で負けて、父の機嫌が悪いとき
おそらく1のタイミングを選ぶだろう。
経験的に、「人は気分のよいときには、他人に対して寛大になれる」「人は何かで怒っている(機嫌の悪い)ときには、他人に対して寛大になれない」ことを知っているからだ。
自分自身に照らし合わせても、「嬉しいことがあって気分のよいときには、他人に対して寛大になれる」「嫌なことがあって気分の悪いときには、他人に対してすぐにキレてしまう」ことがわかるはずだ。
「父の怒りは、ミスをした選手に向けられている。だから、今報告すれば、自分が骨董品を壊したことに対する怒りは小さくなる」なんて理屈を本気で信じるのは、洗脳されて騙されている人だけだ。
自我消耗
自我消耗という言葉がある。
大雑把に言えば、「人が我慢できる量は限られている。あることで我慢をすれば、その分、他のことで我慢できなくなる」ことだ。
人は、怒りなどのストレスに耐え抜いた直後に、また別のストレスが降りかかってきたとき、もう耐えることや努力することができなくなり、ストレスを爆発させたりする。
自我消耗した人は、「もうギブアップしたい」という衝動にいつもより早く駆り立てられる。利己的になり、キレやすくもなる。
やる気を失わせるためには
「やる気満々な人」のやる気を削ぐ方法として、次にあげる策が有効だ。
自分が頑張ることによって恩恵を受ける人、本来は自分の頑張りに対して感謝すべき人が、悪人になって、とことん文句をつける。
こんな人が一人でもいれば、やる気は一気に失せる。
さらに、文句をつける悪人が、「買収されて指示に従っているのは間違いありません」「これで儲けてます」と宣伝するようであれば、この方法による効果は極めて大きくなる。
やる気満々な介護者を、ギブアップさせるために
やる気に満ちあふれた介護者(介護を行う人)が、悪人から嫌がらせを受け、とことん文句を言われ、ストレスを受ければ、介護にどのような影響が出るだろうか?
1.まず、介護者は、悪人から受けた嫌がらせにより機嫌の悪い状態になれば、被介護者(介護を受ける人)に対して寛大に(優しく)なれなくなる。
2.さらに、介護者は、悪人から受けたストレスにより自我消耗して、我慢の容量が少なくなれば、ちょっとした介護のストレスにも耐えられなくなる。
そして、被介護者(介護を受ける人)に対してすぐにキレて、つらく当たるようになる。
適切な判断ができなくなったり、ミスを起こしやすくなったりする。
3.悪人が介護者に対してとことん文句をつけ、しかも「買収されて、指示に従うことよって金を儲けています」と宣伝すれば、介護者のやる気は一気になくなる。「こんな奴のために頑張りたくない」と考えるようになる。
4.言うまでもなく、買収されて文句ばかりつける悪人の言うことなど、介護者がまともに聞くわけがない。それどころか、「悪人の喜ぶことは絶対にやりたくない」「言われた通り動いてたまるか」という気になる。
上にあげた影響により
介護者は、悪人がいなければきちんと介護できるところを、やる気も気力もエネルギーもなくして、まともな介護などできなくなってしまう。
「悪人が介護者にストレスを与えれば、介護はうまくいく」「介護者の怒りが悪人に向くことで、介護者は被介護者に対してやさしくなれる」「悪人になれば、介護者は言うことを聞こうとする」「悪人になれば、介護者をうまくコントロールできる」なんて理屈を本気で信じるのは、洗脳されて騙されている人だけだ。