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『存在理由』 第64号 2019年5月13日
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前回の記事では、
組織の制度やルールで変わるわけではなく、
風土やムードが必要である、
ということを書きました。
それって最終的に理念に行き着くよ、
ということも書きました。
理念を別の言葉で言い換えると、会社の存在意義ということになります。
せっかく立ち上げた会社、
何のために立ち上げたんだっけ?
ということですね。
最初は、独立の目的が金儲けでもいいと思うんです。
すげー頑張って働いてるのに、
昇給なんて一年に一回あるかないか、
しかも月額数千円しか上がらない。
だったら自分で会社作って、やったらやった分だけ対価が欲しい、
って思って独立したって別に変じゃない。
でも、ずっと存続し続ける会社にするためには、
それじゃダメなんじゃないかなと思います。
やっぱりその会社ならではのやれること、やりたいこと、
目指すもの、実現したいことなんかがあって、
それに賛同してくれる人がお客様になったり従業員になって
会社のサポートをしてくれる。
それがなくて単に金を稼ぎたい、ということだけだと、
お金のことしか考えていない人が集まりますし、
一方で顧客は離れて行ってしまうでしょう。
世界最大級の人材開発の組織イベントとして、
ATDカンファレンスというものがあるそうです。
僕は他店舗化養成塾の講義で聞くまでは知りませんでした。
世界120カ国以上、約4万人の会員を持っており、
年に一回国際会議が開かれて
基調講演やセッション、ワークショップなどが多数行われます。
そこでこのようなことが話されているとのこと。
今の時代はVUCAだと言われているようです。
すなわち、
V:Volatility(変動)
U:Uncertainty(不確実)
C:Complexity(複雑)
A:Ambiguity(曖昧)
そしてこのVUCAの時代に、「正しい」というものはあるのか?と。
ATDカンファレンスの主なテーマは以下のような内容だそうです。
・どうしたら情熱と主体性を持って動ける組織を作れるか。
・脳科学や心理学の発展を背景にして、
リーダーのマインドセットはいかに変化していくか。
・長期的な行動変容を生み出す学習法をいかに構築していくか。
・テクノロジー(科学技術)とラーニング(学習)を
どうバランスさせていくのか。
これを聞いて、
あぁ、結構すごい、崇高なテーマのカンファレンスがあるんだな、
と思いました。
脳科学とか心理学、テクノロジーとかが出てくると
ちょっと複雑な話になりますし、
方法論はいくらでもあり、
そもそもどうやって取り入れるのかという問題もあり、
専門的な話になるためここでは触れません。
それでもまず気になるのは、
情熱と主体性をいかに持ってもらうか、
ということじゃないでしょうか。
以前、自燃他燃の話をしたことがあると思いますが、
結局会社に所属している以上、
最終的な責任は会社が取るわけです。
損害賠償などの事態になったとしても、
本人に悪意があったり、故意または重大な過失がなければ
会社が賠償することになるでしょう。
そうじゃなくても、
例えば担当している案件が赤字になってしまったり、
前年度よりも売上が下回ったりということも、
社員個人に責任を取らせることは基本的にはしません。
一生懸命頑張っても、そこそこの頑張りでも、
それほど給料は変わらない。
だったら楽な方がいいや、と思ってしまう社員がいるのも無理はないかと思います。
このような受け身の姿勢の社員じゃなくて、
自分ごととして受け止めて自主的に仕事をしてくれる社員に、
どうやったらなってもらえるのか?
これは永遠のテーマなんじゃないかと思います。
これを解決するためにはどうしたら良いか、
一社員、中間管理職の立場で思うことはこのようなことです。
①その会社で働いているという誇りを持てるか否か
②頑張ってちゃんとやったものについて、ちゃんと認めてもらえるか否か
③それに取り組むことに、自分自身が成長を感じられるか否か
これらの一つ、もしくは複数が満たされている時、
人間は自ら主体的に、積極的に仕事に取り組むと思うんです。
ちゃんとできていますでしょうか?
このようなことを実現する仕組みがあるでしょうか?
逆に、一方的に指示を出してやらせようとするくせに、
まったく事前情報や背景の共有もなく、
ただやりたいことを伝えるだけだったり、
やり方について最初に方向性を示してあげることもなくほぼ丸投げで、
サボったと思ったら厳しく指摘するにもかかわらず、
ちゃんとやりきっても特に誉めもせず報酬もなく、
成長できるような要素もない単純作業で、
しかもそれをやっていると人に早く振れというくせに、
誰に振ったらいいのかまったく見えない、
こんな事態になっていませんよね、と僕は言いたいです。
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ブログ 『Integrity』
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