藤波孝生元官房長官が10月28日に亡くなられた。リクルート事件さえなければ間違いなく総理大臣になった政治家である。訃報を聞いて何ともいえない虚しさがこみ上げてきた。日本の政治が今に続く混迷を始めたのは、藤波孝生氏の失脚と無縁でないとの思いが私にはあるからだ。
初めて藤波氏にお会いしたのは1979年、第二次大平内閣で労働大臣に初入閣した時だった。私は労働省担当記者で懇談の席で藤波氏の話を聞く機会を得た。政治家らしからぬ控えめな人柄で、記者を相手に話す話もバランス感覚に溢れていた。例えば選挙の話になったとき、藤波氏はこう言った。「選挙で自民党は勝ちすぎないほうがいい。野党がある程度の議席を持っている方が、外国からの要求に対して牽制が効く。自民党が勝ちすぎると日本は言いなりにならざるを得なくなるんです・・・
《ざ・こもんず》で続きを読む(無料) サンプルページはココをクリック
