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 インサイダーは04年にNo.175と182の2回連続で「憲法第9条をめぐる対立軸の変位/改憲VS護憲からへ集団的自衛権VS集団的安保体制論」という長い論説を掲載し、さらにそれを補足する資料としてNo.183に国際法の領域における「戦争の違法化の歴史」についての資料を掲載した。テロ特措法をめぐる議論の根底にある問題を整理するのに役立つと思われるので、これらを一挙再録する。


(1)憲法第9条をめぐる対立軸の変位??改憲VS護憲からへ集団的自衛権VS集団的安保体制論(i-NS175)


 2004年の日本政治は、イラクへの自衛隊派遣をめぐる論争が、7月参院選を経て、そのまま恐らく今年後半に本格化する憲法改正、とりわけ第9条の扱いをめぐる論争に繋がっていくという恰好で基調が形作られることになるだろう。


 実際、通常国会冒頭から与野党対決の焦点となったイラク派兵をめぐっては、小泉純一郎首相は、憲法前文の「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」「いづれの国家も自国のことのみに専念してして他国を無視してはならないのであって」といった個所を(俄勉強の一知半解の域を出ていないものの)盛んに引用して派兵を正当化しようとし、それに対して菅直人=民主党代表は、自衛隊が事実上の戦闘地域に出て行って、国際法的ステータスも占領軍の一員であることからして、派兵の「憲法違反」は明白で、小泉と神崎武法=公明党代表は辞任すべきだと主張した。


 また27日の衆院予算委員会で民主党の生方幸夫が米国追随・国連軽視だと迫ったのに対し、小泉は「現実的に日本に危機が起きた時、国連は国連軍を投じて日本の侵略を防いでくれるわけではない」と、国連の“役立たず”を指摘して、日米同盟重視の立場を強調した。本当ならここで小泉は、同じく憲法前文の「恒久平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの平和と生存を保持しようと決意した」という個所をこそ引用して、国連の場を通じての国際紛争の公正かつ信義に基づく平和的解決こそが基本であって、日米同盟による集団的自衛権の事実上の発動によるイラク派兵やその“見返り”としての朝鮮半島や日本の危機への対応は国連憲章及び日本国憲法の趣旨には合致しないことを認めるべきであったろうが、彼はむしろ、国連をバカにして、日米安保しか頼るものはないという立場を鮮やかにした・・・



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