「国民総生産」ではなく、「国民総幸福量」という言葉があります。
ブータンの国王が提唱している言葉で、昨今世界中の国が、発展途上国のブータンに注目しています。
ブータンの平均所得は十万円を切っていますので、いわゆる「貧しい国」の範疇に入ります。
しかし、環境保護政策だけをみると四十年程前から世界的なレベルに達しており、環境政策では先進国レベル。
また、地方自治体の育成に力を入れており、国民が自らの努力で政治をつくる国を目指しています。
簡単に言うと、「上から下」ではなくて「下から上へ」の政治。
「官から民へ」のスローガンをどこかの国の政治家が必死に叫んでいましたが、ブータンは本気でそれを実践しようとしています。
ケネディ大統領が就任演説で、
「国があなたに何をしてくれるかを尋ねてはなりません、あなたが国のために何をできるか考えて欲しい」
と語ったことは有名で、日本の政治家もよく引用します。
しかし、いったい何人の政治家がブータンのような政治システムを築こうとしたのでしょうか。
少なくとも「愛国心」を強制しても、国民が国のために何をできるかを考えてくれるわけではありません。
「下から上へ」「官から民へ」への政治は、愛国心を強制しても実現できない。
ブータン国王や、ケネディや、X JAPAN好きのおじさんが言うように、日本が本気でそういう国になろうと考えているのなら、ブータンについて学ぶ必要があるでしょう。
ブータンの政治についての詳細が知りたいかたは、元世界銀行副総裁の西水美恵子さんが、エッセイや講演でブータンについて語っていますので、下記にリンクしておきます。ぜひご覧下さい。
「ブータン王国に学ぶリーダーシップの形」
http://www.kirashuji.com/report/2007/0106butan.shtml
「雷龍の国ブータンに学ぶ(1)」(2005年8月号『選択』に掲載)
http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/wasureenu/08.html
「雷龍の国ブータンに学ぶ(2)」(2005年9月号『選択』に掲載)
http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/wasureenu/09.html
「雷龍の国ブータンに学ぶ(3)」(2005年10月号『選択』に掲載)
http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/wasureenu/10.html