4月の石膏像は、『サモトラケのニケ』です。
頭部と両腕が失われた女神像。
翼を広げた力強い姿です。
頭部はなくても、全体から強い意志で未来を見つめる姿が感じられます。
冬が終わり、新しい季節を迎える今、
この季節に羽ばたこうとしている人たちに贈りたいと思います。
この絵のタイトルは、『翼を広げる、ニケ』です。
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■【絵描き建築士のスケッチデッサン講座】4月予定
●山形県生涯学習センター 遊学館
4月6日(土)第6研修室 14:00~16:00
4月20日(土)第6研修室 14:00~16:00
●山交ビルカルチャーセンター
【連絡先:山交ビル代表】023(632)1313
【日時】月2回水曜日 18:30~20:30
4月10日・24日
●やまがたカルチャー&健康スポーツセンター
【連絡先】023(622)1418
【日時】月2回木曜日 13:00~15:00
4月11日・18日・25日
『わたし、雪灯籠をつくってるんです‼』
これは、全国でも有数の豪雪地帯、山形県の小国町に住んでいる女の子から聞いたお話です。
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その女の子は、小学校4年生の時 この町に引っ越してきました。
冬が来て、自分の背丈よりはるかに高く積もる雪を見て、小学校4年生の女の子は『雪灯籠を作ろう』と思ったのだそうです。
『なぜ雪灯籠を作ろうと思ったの?』と僕が聞くと、女の子はちょっと考えてから『わからない』と応えました。
女の子は今まで、そんなことは考えたことがなかったようです。
明るいうちに雪を積んで雪灯籠を作り、その中に蠟燭をおきました。
雪灯籠を作るのにかかる時間は、4時間くらいだそうです。
そして、日暮を待って灯をともすのです。
子供がひとりで、灯籠に火をともしていたら、普通なら『火遊びするな』と怒られるかもしれません。
でも、女の子の雪灯籠は、絶対、火事になんかなりません。
世界一危険のない『火遊び』ですね。
灯のともった雪灯籠を、女の子は、ぼおっと眺めていました。
やがて蝋燭が消えたらそれでおしまい。
雪深い小国町では、冬の日が暮れてから出歩く人もいません。
女の子の雪灯籠を見るのは、女の子と山の動物たちだけでした。
毎年、毎年、一日だけ。
女の子は、雪灯籠を作り続けました。
女の子の雪灯籠のことを知っているのは、女の子のお母さんとおばあちゃんだけです。
女の子は、スマホで写真を撮っても、メモリがいっぱいになる前に消してしまいます。
女の子のおばあちゃんだけが、自分の日記に女の子の雪灯籠のことを書いて残してくれているそうです。
『雪灯籠』と言えば、小国町の隣の米沢市が有名です。
米沢の冬のイベント行事として、毎年多くのお客様に見てもらっています。
小国の女の子の雪灯籠は、毎年毎年一日だけ、誰にも知られず灯され、消えていくプライベートセレモニーです。
雪国の少女が、誰にも告げず、毎年灯す『雪灯籠』。
今まで家族以外には話したことのないというこの話を、女の子は、僕に話してくれました。
僕は、女の子にお願いして、スマホの写真が消される前に送ってもらいました。
たまたま偶然、雪の中に灯る女の子の雪灯籠の前を通る人がいたら、どんな幻想の世界に迷い込んだと思うでしょう。
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今年も、冬が終わろうとしています。
雪が解け、雪灯籠も消えました。
消えた雪灯籠の後に灯る、『春の予感』。
小国町にも、春がめぐってきます。
春待ち、
春町、
雪灯籠
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効率や理屈がないとかみ合わない日常を離れて、雪の中に灯る雪灯籠。
女の子の雪灯籠の話は、僕の心に強烈に響いたのです。
3月の石膏像は、『ジョルジョ』です。
この絵は、『モラトリアムのジョルジョ』と名付けました。
『モラトリアム』とは、『執行猶予』という意味ですが、
心理学の用語で、青年期の自己を発見し、社会的成長に至るまでの精神の準備期間という意味もあるそうです。
この像には、希望を持ちながら不安を抱える青年を感じられるのではないでしょうか?
進学に、進級、そして就職。
4月から始まる新しい季節を前にした人たちの、
3月の気持ちです。
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■【絵描き建築士のスケッチデッサン講座】3月予定
●山形県生涯学習センター 遊学館
3月23日(土)第5研修室 14:00~16:00
●山交ビルカルチャーセンター
【連絡先:山交ビル代表】023(632)1313
【日時】月2回水曜日 18:30~20:30
3月6日・27日
●やまがたカルチャー&健康スポーツセンター
【連絡先】023(622)1418
【日時】月2回木曜日 13:00~15:00
3月28日 体験会
『絵描き建築士のスケッチデッサン講座』に通っていただいている方が、東京の新国立美術館で『ルーブル美術館展』を見てきたと教えてくれました。
去年の6月のことですが、
https://www.nact.jp/exhibition_special/2023/love_louvre/
名だたる名画の説明を、音声ガイドで聞いたそうです。
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その音声ガイドで聞いた重厚な芸術作品と思っていた絵画のテーマが、ほとんど当時の『醜聞不倫スキャンダル』だと聞いて、とても驚いたと言っていました。
王侯貴族などのパトロンが、一流の画家に命じて描かせたのは、現代の週刊誌に描かれているゴシップネタのようなものだったようです。
当時は、身分社会・格差社会。
極端な格差社会で、豊かさは王侯貴族に集中していました。
偏在する余剰な豊かさが芸術と評価される価値を生み出したのですね。
民主主義の現代では、権力者が税金を使ってこんなことをしたら、『無駄遣い‼』と非難を浴びるでしょうけれど。
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時代を経て、それは『崇高な芸術作品』として、遠い東洋の国で大勢の人々に鑑賞されました。
現代のスキャンダルも、時代を経れば、芸術として評価されるかもしれません(笑)。
多くの芸術作品とは、きっと、
その時代でしか生まれない価値なのでしょう。
再現性のない『貴重な宝もの』です。