畑違いのところへ異動した。まずはそこの社内規程を読むも、はじめの3日間は関係する法令を集め、4日目に集めたものを読み出して、5日目にこれは戦線を拡げすぎだと気が付き、社内規程を読み出した。そして、これが絶妙に頭に入らない。書くしかない。これまでとはまるで畑が違うのだ。ついに、日頃の速書きの鍛錬の成果を試す日が来た。

 

しかし、場が職場である。環境が変わり新しい変化が起きた。

家ではボールペンだけで比較、ゲルペンだけで比較、万年筆だけで比較というように、種類別の比較しかしていなかった。職場では全部まとめて比較してみた。

求める機能は、程々に速く滑らかに書ける、普通に読める字が書ける、長時間書ける、つまり書くことで疲れたくない。

 

残ったのはゲルペン0.7mmのエナージェル、ユニボールシグノと万年筆だった。

電話で話しながらや家での勉強のように、ギリ読めるを書くペンとは別の集団だ。

ペンの種類を問わずテストしたことで、万年筆の筆圧がいかに軽いかを実感できた。また、ボールペンの使いにくさの本質が、ペンを立てなければインクが出ない点にある、というのを実感した。正しい持ち方で書けないなら用はない。

不思議なのはゲルペン1.0mmが向いてなかったことで、インクの流れが多すぎて、かつペン先が走るので、読める字にならなかった。書き殴る用だ。

一方で、鉛筆はテストしなかった。閉じると向かいのページに芯の粉が移るから、読み返すときにノートが汚れていて気持ちが下がる。これはライフログのノートで確認済み。

 

程々に速く読める字を書くのには理由がある。用語が微妙だからだ。例えば、押印と捺印は違う。誰が捺印するかに注目し、この使い方はおかしいんじゃないかと周りの人に聞いてみると、おかしいね、という結果になった。書いた字をしっかり読むことで、なんとなく読み流すのを防いでいる。

 

で、万年筆の比較だ。

家使いの太軸ではなく、ペンケースに入っているLAMY2000 B字を2本、プラチナ万年筆CURIDAS中字、パイロットCapless F字で比べ、CURIDASが優勝した。プラチナ万年筆のステンレスのペン先の柔らかさと軸の太さがポイントだった。インクはなるべくブルーブラック。華やかな青は集中力が落ちる。LAMY2000は優れたものだが、ノック式と比較すると、仕事使いという制約の中では負ける。なお、Caplessはマットブラックと木軸とで太さが違っており、少し太い木軸のほうがペン先のコントロールがしやすい。

追加で比較するならLAMY Safari、Alstarだ。

 

書いた字を読み返そうと決めたのは読みかけの本の引用に尽きる。

 

定義は理解すべきもの

これまで「定義」について述べてきたことは、諸君をして、おのずから、定義は暗記すべきものではなく、理解すべきものだということを悟らせたであろうと思う。定義を暗記しても、具体的な場合の判断にはほとんど役に立たない。のみならず、ややもすると「例外」の存在、その重要な意義、「概念の相対性」などを無視させる危険がある。要するに、「定義」は、諸君がこれから進んで具体的な研究に入るにあたって、一応その意味を理解し、具体的な研究の指針とするとともに、具体的な研究によって、これに豊富な内容を加えてゆくべきものなのである。

我妻栄『民法案内 第二版』 pp.19-20

 

我妻先生は何度も読むということはせず、じっくり理解しながら読み進めるのだそうだ。自分が好きでやる勉強ではないので、先達に学ぶ。

必要に迫られて読む我妻民法は案外わかりやすい。

 

均衡が動いた。