ついったで流れてきた連ついが異様に面白かったので取り寄せてみたら、10年以上前の本、何となく読んだことのあるような、まあ、読みどころは以前と違うかも知れないので、読むことにした。この駄目な例とは逆のことが同じ時期に起きており、伊神満『「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明』でハードディスクドライブを事例に採り上げられている。恐ろしく理解しやすい文章なので、よく記憶に残る一冊。

 

以下は微妙に圧縮して文字数を減らしている。

 

p.13 世の中の森羅万象は常に変化すると頭でわかっているはずでも、人、企業、産業、国は変化することを嫌う。世界シェア1位、世界最高品質、世界最先端の技術を持つ企業が、世界トップであるがゆえに変化を拒否した結果、転落していくのである。

 

p.82 なぜ、日本半導体産業が凋落したと思うかと問うと、コスト競争力の低下を挙げ、安くつくるための生産技術力の低下や、利益率の低さを指摘する技術者も多かった。

 

p.84 インテグレーション技術者は、会話によって組織間の調整を行い、効率良く、低コストでDRAMを開発し量産する技術力を身に着けていったと考えられる。

 

p.92 (原価計算どうなっとるのよ)

 

p.99 サムスンは、最も優秀な人材をマーケッターにする。自社の未来がかかっているから。世界の動向から、国や地域での市場を予測し創造することが求められる。マーケッターの能力はその人が持っているセンスで、教育では養成できない。

 

p.166 世の中のパラダイムは変化していくのに、30年前の成功体験からくる、日本の技術力は世界一という過信があり、自身は一切変化しようとしない。日本半導体が壊滅的な状態に陥った理由は、変わろうとしない態度にある。

 

p.171 シュンペーターは、イノベーションとは発明と市場との新結合、と定義した。イノベーションとは爆発的に普及した新製品であり、爆発的に普及することが重要なのであって、技術が革新的かどうかは関係ない。技術開発を行った段階では何もイノベーションは起きておらず、その技術を使った新製品が爆発的に売れて初めて、イノベーションが起きたと言える。

 

p.181 マーケティングの本質は変化を捉えることであり、それに応じて自身が変化することである。経済、技術、市場、制度、政治、それぞれ変化する。人の心も変化する。これらが一度に起こると予測できないパラダイムシフトが起きる。変化から生き残るにはマーケティングが術であり、最も重要視されねばならない。