1月17日土曜日。
共通テスト一日目。
私立文系三科目受験のロビンは、この一日目のみを受験した。
志望校を決め始めた当初は、共通テストは利用せず全て個別入試を受ける予定だった。
まず国公立を受験しないのと、共通テスト利用枠は募集人数が少ない上に、全国からの受験者も多いので篩にかけられて落とされる人数も多くなる。
なので、個別入試対策に力を入れて志望校の過去問をこなすために共通テスト対策はほとんどしておらず、国公立至上主義の学校側から強制的に受けさせられる共通テスト模試は、ロビンにとって煩わしいだけだったようだ。
しかし徐々に志望校と学部が絞り、入試要項が発表されると、一科目のみ共通テスト利用をしなければいけない学部があった。
ということは嫌でも共通テストを受験せねばならなくなる。
そして月日が経ちじわじわと願書提出の時期が近づいてくると、「大学受験」という現実味を帯びてきたのか、滑り止めを真剣に考えるようになり、どちらにしろ共通テストを受けるのなら滑り止めの大学は二校ほど利用しようという考えに至った。
浪人は回避したい。
滑り止めしか合格しなかった場合、浪人もしくは仮面浪人するかも知れない。
もう受験勉強生活は懲りたので、受かればどこでもいい。
いや、自分は志望校へ合格するのだから大丈夫。
そんな言葉が毎日コロコロと変化をしながら繰り返される。
当日、我が地は快晴だった。
ふと2020年1月10日の中学入試の朝も、こんなに美しい澄み渡るような青空だったと思い出す。
あれから六年が経ったのかと想いを馳せながら、ロビンを自宅の最寄り駅まで車で送っていった。
天候や人身事故、車両不具合、信号の故障などに見舞われず、無事に会場まで辿り着いてくれれば、あとは本人次第だ。
早めに会場の最寄り駅へ到着し、受験時刻までファストフード店で復習をしながら時間を潰すという計画だった。
一緒に会場へ行くわけでもないし、正直自宅から駅まで徒歩6分ほどなので送迎だって必要ないが、いざという時のためにと仕事を休んだ私は、ロビンを駅で見送った。
車中で「全然緊張してない」とあっけらかんとしていたロビンと対照的に、私の方がドキドキしていた。
そして車を降りて「行ってくるね」と手を振るロビンを見て、涙が滲んだ。
まるで戦場へ息子を送り出すような気持ちだった。
自宅に戻った私は、時間割と時計とスマホを順に見ながら、時折「どうかどうか」と祈った。
無事に到着して欲しい、努力して身に付けたことを十分に発揮して欲しい、清々しい顔で帰ってきて欲しい。
そう思いながら、長い一日を送った。
試験を終えたロビンは、友達とそのまま夕飯を食べに行き、帰宅したのは22時近くだっただろうか。
「始まるまでは平気だったけど、試験が開始したら背中を針で刺されるようなチクチクした痛みが走った」
やはり問題用紙を眼前にしたら緊張したのだろう。
個別入試の前に練習として共通テストを受けて良かった。
共通テスト利用をした二校の合否はまだ先である。