第十八話 「橋本真也対小川直也」
袈裟切りチョップのラッシュ!ラッシュ!
試合開始から、橋本が猛然と小川に襲いかかった。
総合ルールにおいても、橋本のチョップは有効であることを証明している。
試合開始わずか1分、はやくも小川がダウンを喫した。
うつぶせ状態の小川に、そのまま馬乗りの状態でさらに襲いかかる。
もう敗戦は許されない。
橋本の心理状態は崖っぷちに立たされていたのかもしれない。
早くもレフェリーが小川の様子をチェックする。
騒然とする東京ドーム。
側頭部へのパンチを嫌がる小川は、頭部をしっかりとディフェンス。
しかし、ディフェンスなどお構いなしに攻撃を続ける橋本。
うつぶせ状態から回避するために、体を入れ替え、正面を向いた小川。
しかし、これが仇となった。
さらに橋本の猛攻がその激しさを増した。
試合前には全く予想だにできなかった小川の防戦一方の展開。
両手でしっかりとガードしているが、その間隙をぬって、小刻みに橋本のパンチが当たっている。
レフェリーが副審と協議を始めた。
試合開始3分。
ドームは圧倒的な橋本コールに包まれていた。
「ストップ!!!」
ついにその時が来た。
セコンドとともにレフェリーが二人を分ける。
興奮やまぬ橋本の形相。
そして次の瞬間、大きなアナウンスが響いた。
「勝者、橋本真也!」
一気に爆発する東京ドーム。
勝者であるにもかかわらず、呆然と立ち尽くす橋本。
武藤、蝶野、大谷が駆け寄る。
ついに、この瞬間を迎える日が来たのだ。
橋本真也、総合格闘技のリングにおいて、小川直也に文句無しの完勝である。
そして、今だ起き上がることができない小川のもとに近づく橋本。
一体何を話しているのだろう。
ほんの少しだけ言葉を交わした二人は、寝たままの小川が満面の笑みを浮かべて、両手を広げた。
小川の状態を気遣い、橋本はそのまま小川と抱き合った。
そして、橋本コールを凌駕するほどの小川コールが巻き起こる。
大の男が寝たままの状態で抱擁するその光景… 実に絵になっていた。
長い年月をかけた二人のライバル闘争が、終幕を迎えた。
第十九話 「グレイシーハンター・桜庭和志」 に続く…