また昨年撮った写真です。しつこいですね。




一昨日から投稿を始めた思い出話の
今回は第二話になります。

前回記事にいいねをいただいた方々のブログに
まだほんの少ししか訪問できていないのに、
更新が先になってしまいました。
まだお伺いできていない方々、すみません。


僕は以前から
(なんならブログを始めたときから)
記事を熟読してしまうタイプなので、
時間がかかり
一日にお伺いできるブログの数が限られてしまいます。

時間がかかるけれど
ゆっくり訪問させていただきますので、
そういう奴なんだと思ってもらえたら幸いです。


というぐだぐだな言い訳でした。
それでは前回の続きです。





そして写真も前回の続きだったりします。





【春隣 2】



昔の恋人を便宜上、マキという名前にしたい。
僕は二文字の女性の名前が好きだ。
それがいつからだったかはよく思い出せないが、
下の娘に二文字の名を付けたことは理由のひとつになっていると思う。


ホットサンドを手にしながら、
「すみません」に対する応答として「大丈夫」は妥当であったかを考えた。
それは特に支障がないようにも思えたし、
全く相応しくないようにも思えた。
つまり、はっきりしなかった。
はっきりしないので、僕は考えることを諦め、
買ってきた文庫本を取り出した。
ホットサンドは千切りになったピクルスがこれでもかと挟まれていて、
他の具材の味がわからなかった。

文庫本のまえがきを読み始めてすぐ、
僕の間接視野に妙な光景が映った。
トレイに乗ったコーヒーカップが、すうっと離れていくように見えたのだ。
テーブルに置かれた味噌汁のお椀が滑るように動く、あの要領で。
僕はコーヒーカップに視線を移したが、しかし動いたような形跡はない。
もう一度本を読み始める。すると再びコーヒーカップは離れていった。
それを見て僕は思わず苦笑した。
それは、マキが時々僕に繰り出した悪戯だった。
マキはカフェで、居酒屋で、あるいはバーで、
僕の向かいに座り、そういう悪戯をしては喜んだ。
時には僕が咎めることさえ面白がった。
ふざけたときに見せるマキの笑顔を、僕は暫し思い返した。
もちろん、今この席の向かいの椅子には誰も座っていないけれど。






酸味の強すぎるホットサンドを頬張っていると、道理にかなう考察が浮かんだ。
あのウェイトレスは「すみません」と僕に謝ったが、
あれは「ピクルスをたくさん入れすぎて…」という主文を受けた述語だったのではないだろうか。
僕が急に後ろからやってきたせいか、あるいは別の事情で、
たまたま主文が抜け落ちたのかもしれない。
だとしたら、
「大丈夫です」という返答は立派に成立していた。
ウェイトレスはきっと、僕の返答をファイナルアンサーに認定したのだろう。

晴れて僕は、ピクルスをたくさん入れすぎても大丈夫な客に認定されたのだ。












特に要望がなければ、
これで「画像・美術館シリーズ」は終了にします。


あと僕の気が変わらなければ。