#夏という言葉を使わずに夏を一人一個表現する物書きは見たらやる
灼熱の珊瑚浜を過ぎて
急ぎ足
椰子の森林へと迷い込んだ
底なしに際立つ漆黒と
花弁のように落ちる
光の粒子
もう 誰もいないよ
時の止まった湿度の下
水着の君が
流し目の笑みで 肩紐ずらす
白く残った線のことを
蜃気楼と呼ぶのだと
その時初めて
知った