眠れぬ夜にささげましょう
眠れない
かちかちと無機質な音を刻む時計はもう夜中の2時をまわっている
そういえば今日は起きるのがとてつもなく遅かった
窓から入る光に気づいた時には時計の短い針が2という数字を回っていたし
なんだかだるくて外にさえでなかった。
適当に携帯やテレビで時間をつぶしていた。よって、まったく動いていない。
そりゃあ寝れないだろう!なんて自分で自分につっこんでみた。
今からちょっと運動すれば眠くなるかな。
ごろごろごろごろあ痛い壁に思いっきり背中を打った。
狭いのかなこのベッド。俺も成長したなあ。
ああそれにしてもすごく暇だ。
小さいころは睡眠時間が少なくても平気な事にあこがれたりしたのだが、こんなに暇だとそれも考え物だ。
別に連絡取る相手が居ないってわけじゃない。
みんなの人気者正臣君とぼっちな情報屋を一緒にしないでくれよ。
じゃあなんでメールなりなんなりしないのかって?1時間くらい前まで携帯でつながってたはずの友人は、俺のナンパ武勇伝を聞かせてる(正式には読ませてる)間に寝落ちしやがった。くそう後でおぼえてろよ帝!!
・・・ああ、暇。
ふと窓の先に目をやると黒い世界が広がっていた。そりゃあ夜だもんなあ。
黒ねぇ・・・臨也さん・・ならこのくらいの時間起きてるかもな。あの人睡眠時間少なそうだもんな。でもなんだか自分から連絡するのはなんだか癪だ。だから辞めとこう。
臨也さんはこう、寝れない時どうしてるんだろうな。どうせ連絡してくれる相手もいないからとーっても暇だろうけどざまあみろ。ああでも寝れない時の辛さは十分分かったから今度臨也さんからのメール受信したらちゃんと返してあげますよ。俺ってイイ奴。
ホットミルクとか飲むと眠れるってきいたことあるな。それもつくってあげます。こんなけんしんてきなおとこ、なかなか、いませんよ、いざやさん。
あ、なんか・・ねむく、なってきた・・・やった、おや、すみなさ・・
prrr
prrr
prrr
prrr
・・ああマジかよ
prrr
pr
「こんな夜中にだれだああ!折角眠れたと思ったのに!」
無我夢中で通話ボタンを押したせいか、電話越しの相手が誰だか確認できていない。
けど誰でもかまわない!折角来た眠りを邪魔しやがって!
「--よくそんな口利けるようになったねえ、正臣くん」
「あ」
さあっと、血の気が引いたのがよく分かった
「い、ざやさん?」
「正臣くん寝れてないみたいだから、わざわざこうやって電話してあげたのに」
「それ・・は、ありがとうございま・・ってなんで俺が寝れないってしってるんですか!」
「それは俺が魔法使いだからだよ」
怖い怖い!盗聴器しかけられてるのか俺の部屋!?どこだ!!
あわててベッドを飛び降りて、手始めに机裏を覗く。慌てすぎておでこぶつけた。痛いし最悪だ俺のプライバシーは何処いった!
「因みに盗聴器なんて仕掛けてないよ?そんな慌てないでよ。まあ予定はあったけど」
「あなたの言うことなんか信じられません」
「ひどいな正臣くんは」
あっはっはと愉快そうに笑う声からは傷ついた様子など一切感じられない。
じゃあ、どうやって今の状況を・・ほんとに魔法とか使えそうだなあの人。そしたら人類は滅亡ですね。みんなさようなら。明日が来ますように。
「それじゃ、ちょっとお馬鹿な正臣くんに正解をおしえてあげよう」
こつこつ
後ろから窓をたたく音が聞こえる
恐る恐る振り返ると
胡散臭い笑顔の折原臨也そのひとが暗闇の中に立っていた
ー
「どうぞ」
「ありがとう。なにこれホットミルク?」
「そうです。・・なんですか文句あるんなら飲まなくていいですよ」
「いやいや、うれしいよ正臣くん」
「/////そ、ですか」
にこ、と微笑んでホットミルクに口をつける。くっそ要らない事言わなければかっこいいと思うのに。眉目秀麗とはまさにこの人のためにあるのかなと思うのに。どうして言葉なんか覚えさせちまったんだよ神様!
「で、なんでこんな夜中に俺んちに?」
「俺も寝付けなかったんだよ。それで、散歩してたらふらふらっと正臣くん家とおりかかっちゃって。明かりついて
たから起きてるのかな、って思ってさ」
「たまたま、きちゃったんですか」
来る気は、なかったんだろうな。ずき、と胸が、痛む。我ながら女々しいなと思うけど。思っちゃうんだからショウガナイ。
「うん。まあ、でも」
す、とカップに添えられていた手が俺の髪に伸びて、髪の間に臨也さんの指が入れられる。なんか温かい。さっきまでホットミルクもってたからだろうか。
「正臣くんに、あいたかったんだよね」
ななな、んだよこの人!
どうしよう顔が熱い触れられてる部分はもっと熱い。まともに目の前の男を見れない。
「いざやさ・・っん!」
「ん・・可愛い」
触れるだけのキスをされた。自然と頬が緩む。かっこいいなまったく!認めたくないけど!
腕を抱きつくように臨也さんの後ろに回せば、先刻よりも深い口付けが降りてきた
合間に見た外は、もう白みがかっていた
眠れぬ夜も、悪くないな。