正直に言うと、親世代の部下から、上司である私が叱られるということは、少なくありません。人生経験豊富な親世代の部下からは、管理職として未熟な私の仕事ぶりがどうしても目についてしまうようです。部下自身の知識・経験・スキルが私よりずっと上の場合もあれば、そうでなくても、社歴の長い部下は、多くのベテラン店長の下で働いてきています。言わば、「部下のプロ。上司を評価するプロ」です。
一人の親世代部下から言われた言葉の裏には、部下自身がこれまでに経験したことや、数十人のベテラン店長の教えが存在していると思えば、私のようなまだまだこれからの管理職は叱られて当然で、注意を受けることはありがたい限りだと思います。若くして責任あるポストを任されながらも、部下から半永久的に学び続けることが出来る立場なんですね。もちろん、そう思えるまで時間はかかりましたが(笑)
開店20年を迎えた静岡のお店は、開店当初からのオープンスタッフが大半を占めていました。面倒見のよいHさんもオープンメンバーのひとり。
「店長、今度のキャンペーンで配布する景品、ここに置いたって社員全員に伝えた?昨日出勤したみんなに伝わってなくて、探してましたよ。ほら、そういうところ気を付けないと!」
「店長、連絡ノートに個人を名指しで注意を書いちゃダメよ。みんなを敵に回すよ!」
「○○さんの身だしなみ、ルール違反ですよ。店長が注意しないから、みんなが○○さんの陰口言い始めてますよ。先回りして注意しなきゃ。」
店長になりたての頃は、こうして痛いところを親世代の部下から指摘されることがストレス以外の何物でもありませんでした。(今でも、前向きに捉えているとは言え、叱られると胸にグサッと来ますが。)
そんな親世代の部下からの注意を素直に聞けるようになったのは、やはりHさんがきっかけでした。Hさんと一緒にお昼休憩を取っていたときのこと。社内で誰もが恐れる剛腕営業部長のKさんについて、Hさんから話を聞くことがありました。
「Kさんはね、昔このお店の店長だったのよ。みんな血も涙もない部長だって思ってるみたいだけど、私は尊敬してる。当時働いていたアルバイトの子がね、お母さんと2人暮らしだったんだけど、そのお母さんが亡くなったのね。Kさんはお店のみんなや近隣の店舗のスタッフに頭下げて回って、葬儀を手伝ってやってくれって。もちろん私も手伝いに行ったよ。彼はいざというときに、人を動かせる人なのよ。」
K部長のことを見る目が変わったのはもちろんですが、一番考え方が変わったのは、「ああ、パートさんたちは、こうした自分が到底かなわない、多くの尊敬する歴代店長の下で働いてきているんだ。彼女たちから見て、自分の至らない点がぼろぼろ目についても、それは当然なんだよな。」ということでした。
私たちはまだ若いです。管理職だからと言って、背伸びしたり、虚勢を張る必要はありません。親世代の部下に叱られ、反省し、感謝し、成長しながら同時進行でリーダーとしてみんなを引っ張ればよいのではないでしょうか。親世代の部下のみんなは、まさに母親のように、それを受け入れてくれる懐の深さを持ってくれていると信じています。
