子供の頃からずっと

 

親父のイビキがすごくうるさいと思ってた

 

いつかそれは

 

親父がイビキをかいていないと死んでるんじゃねえかって不安になった

 

でも毎日必ず大音量でそれは聞こえてきて

 

たまに、ちょいちょい、結構な頻度で無呼吸なんたらでいきなり止まったりするけど

 

すぐにまた大音量に戻るのが心地よくはないけど頼もしくもあった

 

でも今目の前にいる親父は

 

一切イビキをかかないかけない

 

身体中に色んなチューブがつながれていて鼻にも口にも

 

窓のない部屋に色んな機械が置かれていて全部が親父とつながっていた

 

予断を許さない状況ってのがよくわかる光景だった

 

ただお医者さんも看護師さんも近くにはいなくて

 

逆にそれが安心だった

 

でも血圧がすごく低かった

 

親父は超高血圧で何十年も毎日血圧を下げる薬をかかさず飲んでいた。

 

なのにその親父の血圧が80代で

 

調べたら70を下回ったら死の危険って書いてあって

 

すごく焦って、寝ている親父に血圧あげろ血圧あげろって言い続けた

 

汗がすごくて、置いてあったタオルで額を拭いた

 

看護師さんに聞いてみたら、熱があるらしく、それも下がらないらしい

 

ただ高熱ではないとの事だった

 

だから気にもとめなかった

 

入院する前。9月の中頃に風邪をこじらせて1カ月してようやく治ったと思ったらこんなことになってしまった親父

 

チェーンスモーカーだったのにかれこれ1カ月以上タバコ吸わなかったとこの時母親に聞いてすっごくビックリした。

 

よっぽどひどい風邪だったんだなぁ

 

としか思わなかった。

 

もしかしたらすでにその時にむしばられ始めていたのかもしれない

 

いやきっとそうだ

 

聞いたこともないウイルスに。

 

親父を殺した

 

ウイルスに。