すごく共感できるものだったんで
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今から社会人になる方、新しく役職についた方、現在の仕事に取り組む初心を忘れてる方へ。


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出典:運のいい人、悪い人 ―人生の幸福度を上げる方法
posted with ヨメレバ
本田 健,櫻井秀勲 きずな出版 2013-03-04


朝、出社すると常務から呼ばれて「編集長が倒れた」というのです。

それは大変だと思いましたが、そのあとの常務の言葉を聞いて、
私は驚愕しました。

「それで社長と相談した結果、今日から君が編集長だ」というのです。

当時の「女性自身」はすでに80万部の大雑誌になっていて、
部員も40人くらいいました。

記者、ライター、カメラマンを含めたら、150人にのぼるでしょう。

私は副編集長でしたが、年長の方もいれば、実力派の幹部もいます。

その中でも最年少の私が編集長になるなど、ありえないことでした。

「とんでもない」と辞退したことはいうまでもありません。

でも「編集長になるというのは決定事項だ」というのです。

そこで「編集長代理で頑張ります」といいましたが、
それでは許してくれません。

それどころか「イエスというまで、この部屋からは出てはいけない」と、一人で会議室に取り残され、
30分ほどたった頃、常務が戻ってきました。

「どうだ、気持ちは決まったか」と聞かれ、しかたなく「とりあえず、やってみます」と答えました。

それだけでも私には大きな決心でしたが、
常務は、「それではダメだ」といいます。

「編集長になって成功させる、といわなければダメだ」

そういわれても、
そんな自信はありません。

私にすれば、つい1、2時間前には、思ってもみないことだったのです。

結局、さらに30分の時間をもらって、
ようやく私は「編集長になって成功させます」といいました。

常務に「自分が編集長になる」といって、会議室から解放された私は、
自分の変化にびっくりしました。

それまで自分が編集長になることなど考えもしなかったのに、
会議室を出たら、編集長として考えている自分になっていたのです。

そうして編集部の部屋に入っていったときには、顔つきが違っていたと、あとで部員からいわれて、
そのことを実感しました。

いま思えば「頑張ります」ではなく、
「成功させます」といったことで「他者運」を「自己運」に変えたのだと思います。

「他者運」とは
「人からもらった運」です。

編集長に抜擢されたのは運のよさですが、
それは「他者運」にすぎません。

それを「自分が成功させます」と決心したところで
「自己運」に変えたわけです。

実際に編集長になってからは、さまざまな問題が私の前に立ちはだかりました。

私が若いことで
「編集長として認めたくない」という部員たちとの人間関係、ライバル誌が出たことによる部数の伸び悩みなど「編集長になっていなければ、こんな苦労はしないのに」という問題を抱えながら頑張れたのは「自己運」にしていたからだと思います。

もしも「他者運」だけで引き受けていたら、とっくに音(ね)をあげていたでしょう。

そうなれば、編集長の任は解かれたかもしれませんが、
その後の成功も、いまの私もなかったはずです。

こうした体験から、
運を生かすには、チャンスを
「自己運」にできるかどうかだ、と私は思っています。